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マイナー・コンバージョン・コンセプト発展編

【 Multiple Substitutes(2)】

 前回の続きで、A7を想定したコンバージョンですが、まずは復習です。A7をEm7にコンバージョンしてEドリアンで弾いてみます。



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 さて、A7のコンバージョンですが、過去にお話ししてきた中で他のコードにコンバージョンができましたよね?

 そうです、A7をB♭m(正確に言うとB♭m6です)にコンバージョンすることができましたよね。どういうからくりでコンバージョンできるかは過去の内容(マイナー・コンバージョン・コンセプト(11)~(14))をご覧ください。簡単に言うとA7にテンション♭9、♭13を想定し、ルートをA→B♭に動かすとB♭m6になるからですね。

 B♭mで使えるスケールとしてB♭ドリアン・スケールは下の譜面です。そして、このスケールをA7上で弾いてみたのが下の動画です。

nori_000041.jpg




 少し注意点があります。A7上でB♭mを弾くので、何も気にしないでフレーズをB♭音で終わると、A音と半音でぶつかるので、多少違和感があります。したがって、あえてA音で終わると良いのかなと思います。あるいは、B♭ドリアン+A音でフレーズを弾く感じと言った方が良いかもしれません。

 下がA7上でEm7(Eドリアン)、B♭m6(B♭ドリアン)を混ぜ合わせて弾いたのが下の動画です。お互いの共通音からEドリアンとB♭ドリアンを行ったり来たりします。これが「Multiple Substitutes」の一つの例です。



 次回はもう少しMultiple Substitutesを進めていきます。




 

マイナー・コンバージョン・コンセプト発展編

【 Multiple Substitutes(1)】

 久しぶりにマイナー・コンバージョンについて書き始めようと思います。前回まで「実践編」として枯葉を題材に書いて来ました。6小節目D7まで書いてからふと思いました。これ以降の小節については今まで説明したことの繰り返しなので、改めて書くことはないなとw。そして次に何の曲にしようかなと考えたりしましたが、説明的にはほぼ同じになってしまうので、別のことを書いていこうと考えました。

 今回からは「発展編」として「Muitiple Substitutes」について書いていこうと思います。

 Multiple は「複数、多様」、Substituteは「代用、代理」という意味ですから合わせて「複数代理」とでも言うのでしょうか。内容的には彼の教則DVD「Quantum Gutar / Advanced Concept」の内容です。

 言葉だけ聞くと何となく面倒な内容のようですが、今までの内容が理解できていれば「なーんだ」と感じると思いますし、多少「こじ付け」というか「強引」と感じるところでもありますw。それでは早速話を始めましょう。

 まずA7というコードを例にとって解説していきます。

 「A7」をまずマイナー・コンバージョンで考えると「Em7(=Eドリアン)ですね。ここがピンとこない人は過去投稿を復習しておいてくださいね。一応、Eドリアンスケールを下に載せておきます。

MCCA1.jpeg

 A7上でEm7(=Eドリアン)で弾くと下のような感じになります。A7はA7(13th)を弾いています。



 今日の話ではまだ「Multiple」でも何でもありません、復習しながら少しづつ進んでいきます。

 あと、近日中に「Pat Martino奏法研究」の方も同時並行で進めていきます。

 ご期待ください!

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マイナー・コンバージョン・コンセプト実践編

【 枯葉(7) 】

●D7

 少し枯葉の話からは外れますが....。

 D7は「Gマイナー・キーのⅤ7でDオルタードスケールが使える」と理論書には普通書いてあります。それが前回のように「Dオルタード・スケールではなくE♭マイナー(ドリアン)スケール」と考えるのはどういうメリットがあるのでしょうか?

 ジャズギターの学習者全ての方に当てはまるとは思いませんが、僕のような「ロックからジャズの門を叩いた学習者」は納得いただけると思います。

 ロック出身者に「マイナースケール」というのはとても馴染みが深いものです。マイナーの名曲は腐るほどありますので、ロック系ギタリストはマイナースケールを使ったフレーズのストックは沢山持っているのが普通です。

 そこからフュージョンやジャズのギターに少しづつ気持ちが寄っていく過程で「ドリアンスケール」を自然に覚えます。Cマイナーのキーで「A♭ではなくA音」を鳴らすアダルトなサウンドに「ジャズ」を感じるようになってきますw。でも、それだけではスタンダードやバップは弾けません。そこで、「ソー・ホワット」「マイルストーン」のような「モード」を練習するようになります。コードチェンジがないので、充分対応できます。これでどんどんドリアンスケールのフレーズをストックしていくことになります。

 そんな中「オルタードスケール」で挫折します。でも、これが今までずっとやってきた「マイナー(ドリアン)スケールで弾ける」と考えることで、俄然世界が開けました。

 僕のマイナー・コンバージョン解説はこの気持ちをみなさんに味わってもらいたいというのが1番の目的です。

 下の動画はD7(♭9)上でE♭ドリアンを中心としたマイナースケールを弾いているものです。E♭ドリアンを弾きつつもフレーズの終止点をD音にしていることで、D7色を出しています。



 枯葉は今まで解説したコード進行の繰り返しですので、これで終わりです。もう一曲ほど実際の曲で解説します。もう少し色々なバリエーションを考えられる曲をセレクトしてみようと思います。
 
 来年もよろしくです。

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マイナー・コンバージョン・コンセプト実践編

【 枯葉(6) 】

●D7

 6小節目のD7です。これが7小節目のGm7に向かうⅤ7であることがまず認識されていないとなりません。これがわからない方はジャズの理論書などに立ち返ってみてください。

 Ⅴ7はこの実践編でも最初の方に出てきましたね。Cm7ーF7ーB♭△7のF7、これはキーがB♭メジャーのV7です。今回はB♭メジャーの関係調であるGマイナーでのⅤ7、D7です。

 少しマイナー・コンバージョンと話が外れますが、枯葉はこのB♭メジャーとその関係調であるGマイナーが交互に出てきます。どこで転調したと考えられて、それぞれのコードがその転調した中でどういう機能や位置付けであるかを把握できないとやはりジャズを弾くのは厳しくなってきます。

 話を戻します。メジャーもマイナーもV7は考え方は一緒です。実践編(3)同様「V7は半音上のマイナーが弾ける」です。したがって、ここでは「D7 → E♭m」です。

 実践編(3)で「F7はⅤ7→テンションを加えてF7♭9♭13→最低音をF#にするとF#m6」

 こんな思考回路で半音上のマイナーにコンバージョンできると説明しましたが、今回は別の角度から補足します。

 D7をどう弾くかに一般的な理論書では「Dオルタードスケール」です。このオルタード・スケールというのが厄介で、ロック系出身の僕のようなギタリストには馴染みがなく、音もピンと来なくって指に馴染みにくいものでした。下の動画ではD7を鳴らした後にDオルタードスケールを弾いています。音を羅列しておくと

 D(R)-D#(♭9)-F(#9)-F#(3rd)-G#(#11)-B♭(♭13)-C(7th)です。カッコ内はテンションです。



一方、E♭マイナー(ドリアンスケール)を弾くと下の動画です。同じように音を羅列しておくと

 E♭(=D#)-F-F#-G#-B♭-C-D♭です。




 ほとんど同じですね。違いはDオルタードはDがあり、E♭ドリアンはD♭なだけです。

 でもD♭っていうのは「Dの半音下」なんで、「ルートのD音の経過音」と考えて使うことができます。また「Cの半音上」なので「7thのC音の経過音」としても使えます。

 要は使い方を気をつければ(ことさらにD♭の音を強調しなければ)「E♭ドリアンを弾くことは要はDオルタードを弾く」とも言えるわけです。あるいは、E♭ドリアンを弾くんだけど、「D7ってくらいなので、D音も弾く」と考えれば良いわけです。

 この部分はとても大事なことなので、次回からもう少し掘り下げて説明しようと思います。

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マイナー・コンバージョン・コンセプト実践編

【 枯葉(5)】

●Am7(♭5)

 ペースが遅くてすみません。師走なもんで珍しく仕事が立て込んでおりますw

 さて続く5小節目のAm7(♭5)ですが、これはマイナー・コンバージョンのもっとも大事な部分の一つです。

 このマイナー7thフラット5thのサウンド、僕が学生時代のめり込んでいたツェッペリンやディープ・パープル等に代表される70年代ロック・ミュージックには全くと言っていいほど使われないサウンドでした。ロック・ミュージックはパワー・コード中心に組み立てられていたサウンドが多く、1度と5度のみで重厚なサウンドを出すのが当時のブリティッシュ・ロックの定番でしたので、♭5thは殆ど聴くことができまなかったのだと思います。
 一方、その後のめり込んで言ったフュージョンにはかなり多用されていて、この「哀愁漂うサウンドw」にのめりこみましたが、どうやって攻略するのか、何を弾いたら良いのかが全くわかりませんでした。

 一般的にはマイナー7thフラット5thは「ロクリアン・スケールを弾く」と理論書には書いてありますが、本の音符をひとつひとつ弾いてみても馴染みのない感じでピンときません。

 こう考えてはいかがでしょうか?

 Am7(♭5)は Cm /Aと考えます。Cmトライアド(C・E♭・G)の下でA音を鳴らすと、これは紛れもなくAm7(♭5)なので、Cのマイナー・スケール、しかもA音があるのですからCナチュラル・マイナーではなくCドリアン・スケールがしっくりきます。

 下の動画はAm7(♭5)上でCドリアン・スケールを使って演奏しています。



 1小節目から考えると、ここまでは極端な言い方すると全部「Cm」と考えて弾けてしまいます。

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プロフィール

武田 謙治

Author:武田 謙治
1962年生まれ 新潟県出身
小4よりクラシックギターを始める。
中学~高校時代はロック、フュージョンに傾倒。
慶應義塾大学入学と同時に、慶應ライトミュージックソサェティに所属し、ジャズの演奏を始める。
卒業後は、働きながら音楽活動を継続し、ジャズギタリスト布川俊樹氏に4年間師事。その後、自己のバンドで各種コンテストに参加する。
【主な受賞歴】
浅草JAZZコンテスト グランプリ受賞
吉祥寺JAZZコンテスト グランプリ受賞
横浜JAZZプロムナード '94 コンペティショングランプリ受賞 横浜市民賞受賞
キングレコード「日本ジャズ維新塾」 グランプリ受賞 岡安芳明賞受賞
 
1990年代は精力的に活動をしていたが、2000年に入り、十数年の間活動休止。その後は2014年夏より活動を再開。
現在は、都内を中心に、「日本一ギターのうまいサラリーマン」を目標にライブや講師として活動中。


【ギター教えます】
 僕は有名ミュージシャンではないですが、ずっと独学でやってきて「ジャズのアドリブが全くできない」とか「そこそこ弾けるようにはなったが、なんかジャズっぽくないなー」など、自分のギター・プレイに不満な方や伸び悩んでいる方の気持ちは一番わかっているつもりですし、そんな方達の手助けができるかなーと感じています。また、このブログで連載している「Pat Martino奏法研究」等について「もっと詳しく教えてほしい!」とか「一週間に一回ペースの小出しでなく、時間をかけてじっくり教えてほしい」みたいな人にも力になれるかな?と思ってます。

 東京都杉並区に住んでいますので、通える方は僕の自宅、遠方の方や通うのは大変という方にはリモートでも教えています。レッスン内容や頻度は生徒の方々の希望に合わせて決めています。

 興味のある方はメールやメッセージ、もしくはブログのコメント送信等どんなやり方でも良いのでご連絡くだされば詳細をお伝えいたします。

 それではお待ちしています!!

Mail : rymk.takeda@gmail.com

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