僕の出会ったギター達(30)
先日ギタリスト矢堀孝一さんのお店「virtuoso」で「夜の楽器屋」なる面白そうなイベントがあったので潜入した。目的はは木越さんが主催する「Kigoshi Custum Guitars」のストラトタイプのギターを弾いてみたかったからである。
これらの楽器、正式な型番はわからないが、どれも木越さん本人と弟子2人の作品である。あえて「作品」と呼ぶ。僕の使っているギターは言葉悪く言うと「プラモデル」である。でもこのギターはまぎれもなく「作品」と言えるものである。


ただのストラトと思ってはいけない。ストラトが欲しい人はフェンダーのストラトを買えば良い。この楽器は強力なオリジナリティがある。そして、びっくりしたことに3本のうち、弟子の2人(まだ若い!)だけで作ったギターも含まれているとのことだが、師匠木越さんの音のポリシーがしっかりと受け継がれていること。驚きである。
どの個体もネックが厚い。がっつりと握って弾く感じ。もっとも、ハンドメイドだから、この辺はオーダー次第でいかようにでも削れるであろうから薄いのが好みの方でも心配ない。ただ音圧とのトレードオフかもしれない。
僕は普段は012の弦を張ったES-175を弾いている。今でこそ握力が衰えてきて012をを張っているが、以前はソリッドギターには014を張って、少しでも箱鳴り感を感じられるようにしていた。こうすると、レスポールやテレキャスターも僕がイメージする「ジャズギター」の音に近づく。僕が弾いた3本とも010が張ってあるとのことだったが、こんな細い弦ですら僕が014を張って実現しようとしていたことが、ほぼ実現できている。親指で弾いてみたが、むちゃくちゃ厚みのあるサウンドであった。そもそも、本当のストラトでは、試奏の時に親指で弾いたりする気にはならない。じゃ、いわゆるストラトの「ハーフトーン」はでないのかというと、それもしっかりと出る。
「こんだけ褒めておいて、何で買わないのかw?」
僕の右手の弾き方の問題である。「ブリッジにガッツリと手首を置き、ピックを弦に深く当てて弾く」僕のスタイルは、ストラトタイプのギターは難しい。どうしてもセンターもしくはフロント・ピックアップが邪魔なのである。ピックアップの間を狙って弾くと、今度は肘の置き場所が変わって思うように弾けない。ストラトはボディと弦の幅が狭いので、どうしても当たってしまう。だから、テレキャスターは弾けるが、ストラトは残念がら弾けないのである。
もうすぐ市場に出回るとのことだが、楽しみなギターだ。
「ストラト好きだが、ジャスにはねー??」って人は使ってみると良い。
