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Pat Martino奏法研究【完全版】 第6章 Phrase & Groove(9)

譜面最初の小節を弾いてみます。



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 最初はゆっくりと、その後は少し速く弾いています。このフレーズはパット独特のフレーズでもなんでもなくって、ジャズでは頻繁に出てくる、定番中の定番フレーズですが、マルティーノのソロでも頻出です。

 彼は次の小節の用に、トップにC音(ルート)を一緒に鳴らして、下の動画のように弾く事が多いです。トップC音は正確になってなくても良いんです。ラフな感じで良いんです。これで、少しフレーズに厚みが出てきます。また、ミディアム以下のテンポの時は、かなりタメた感じで弾いてます。少し左指の方は難しいかも知れません。トップ音を鳴らすため、最初の譜面を弾くときと、ポジションが違ってきますので気をつけてください。




 あと、このフレーズを下のような感じに3オクターブに渡って、連結させて弾いたりします。このフレーズに限らず、あるモチーフを2オクターブ、3オクターブに渡って連結させて一つの長いフレーズを作るってのは、彼のよくやる手法です。

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 参考にしてください。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Pat Martino奏法研究【完全版】 第6章 Phrasel&Groove(8)

 「ダークなサウンド」ということで、2回ほど解説してきましたが、話が少しタイトルとずれていたので、フレーズやグルーブの話に戻します。

 彼の「グルーブ」というか「ノリ」「歌いまわし」「アーティキュレーション」について、僕なりに理解していることを話していこうと思います。まずは下の動画を2つご覧ください。両方とも酒バラのテーマ頭8小節です。





 どちらがMartino風に聴こえますか?当然2番目の方ですね。最初の動画は誰風でもなく、特に意識せず弾いたものです。ハーモニーはともかくとして、一般的に「酒バラ」というと、こんな感じで弾くと思います。

 何が違うのでしょうか?どう弾くとMartinoっぽく聴こえてくるのでしょうか?

 1つ目は音程です。最初の動画に比べ、テーマのメロディーが一オクターブ低いです。彼は多くの人が弾くであろう音程の一オクターブ低く弾くことが多いです。4~6弦を中心にテーマを弾くことで、太いサウンドを生み出します。彼はご存じのように、極太の弦を張っていますので、なおさらのことと思います。

 2つ目、彼はテーマのメロディーをハーモナイズしません。単音で歌い上げます。しかも、「男っぽく」歌い上げます。僕の動画、単音で弾くことはやっていますが、「歌い上げる」部分は参考にはなりませんのでw

 3つ目、要所要所に、合いの手のように「ザッ」って感じでコードを入れてきます。ハッとさせられますし、これも男っぽさの一つでしょう。思い切りよく入れてきます。凝った和音は鳴らしません。必ず5~6弦がルートの一般的なコードを鳴らします。

 4つ目、テンポにもよりますが、多少レイドバックした感じ、結構ぎりぎりまで音符の時間的な長さを長く弾きます。僕の動画ではメトロノームを鳴らしていませんので、少しわかりにくいと思います。また、時間的だけでなく、裏拍をしっかり感じさせる弾き方をするので、実際の出音がためた感じに聴こえてくるのだと思います。これが、音数が多いのに、せわしく無く聴こえない秘密と思います。

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Pat Martino奏法研究【完全版】 第6章 Phrase&Groove(7)

 Patのダークなサウンド、#9thの次はこれです。

ダークサウンド#2

 最初のコードはFaug/Eと表記したらよいのでしょうか。オーギュメントだけでも不協和音ですが、最低音の6弦E音の開放弦をぶつけることで、ダークな感じが一層深まります。



 二番目のコードはBm7♭5(9)/Eですね。2弦は5フレットのE音もしくは2フレットのC#音を鳴らします。これまた、6弦開放弦E音をぶつけます。最初のコードと共通音が多いので(5弦2フレットのB音が付加されただけ)、ほぼ同じ感じで、区別なく使われます。



 このサウンドに、前の回に紹介した#9サウンドを加えて、こんな感じに弾くと、Patののダークサウンドの雰囲気が出ます。ところどころD♭/Eのサウンドを混ぜています。

 

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

Pat Martino奏法研究【完全版】 第6章 Phrase & Groove(6)

 Phrase&Grooveから少し離れてしまうかもしれませんが、Patのダークなサウンドの特徴について話しておきます。

 まずは一つ目の#9thのサウンドです。

 #9thと言えば、ロック系のギタリストもみなご存じのサウンド、通称「ジミヘンコード」と呼ばれているものです。僕の大好きな60年代後半から70年代ロックの楽曲の中で印象的に使われている部分をちょっとランダムに弾いてみます。



 押さえ方は皆さん知っていると思いますので、指板図は書きません。キーは5弦の音ですが、Eの場合は6弦の開放弦も鳴らすことがほとんどですね。

 Patの場合は、上記の押さえ方に加えて、6弦がルートにして下のような押さえ方も使います。6弦5フレットをキーにしたA7#9thです。指板図とサウンドを確認ください。

A7#9



 彼はこの#9thのサウンドを好んで使います。オリジナル曲では、この#9thの平行移動だけで作った曲もいくつかあるくらいです。下に彼のオリジナルである「EXIT」ってやつを弾いてみます。あと、動画では弾いていませんが、彼の人気曲「The Great Stream」もそうですね。



 そして、下のように#9th→7th→3rdの音を下の動画のようにフレーズに組み込むと、俄然Patっぽいフレーズが出来上がります。


テーマ : JAZZ
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Pat Martino奏法研究【完全版】 第6章 Phrase & Groove(5)

 すみません。随分と間が空いてしまいました(^_^;)

 下の譜面を御覧ください。

PhraseGroove (5)

 まずは1小節目です。Amを想定したフレーズで、取り立てて解説の必要もないフレーズです。最後の音がE音なので、E7(ドミナント)からAmに戻る感じでしょうか。テンポはあまり意識しないでください。一応動画も貼っておきます。



 次に2小節目です。1小節目と何が違うのでしょう。最後のE音が一オクターブ下、ギターでいうと、6弦の開放弦、つまり通常のチューニングでギターで出せる最低音です。同じく動画を貼っておきます。



 パットは、ほぼ100%6弦開放弦のE音を弾く2小節目のパターンで弾きます。この効果は2つあると考えられます。

 一つは音の高低差によるもの、もう一つは音量によるものです。

 スムーズな流れと言う意味では、1小節目のフレーズになるのでしょう。ここで、あえて1オクターブ下のE音を弾くことで、意外性にハッとさせられます。

 また、開放弦をあの強靭なピッキングで弾きますので、今までフレーズを弾いてきた音よりも大きくなりますし、多少音程がブレて、シャープ気味になります。

 ギターの最低音をガツンと弾き、パシッと流れをここで止め、そして、新たな展開に突入、これはパットのアドリブソロの特徴でもあります。

 

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プロフィール

武田 謙治

Author:武田 謙治
1962年生まれ 新潟県出身
小4よりクラシックギターを始める。
中学~高校時代はロック、フュージョンに傾倒。
慶應義塾大学入学と同時に、慶應ライトミュージックソサェティに所属し、ジャズの演奏を始める。
卒業後は、働きながら音楽活動を継続し、ジャズギタリスト布川俊樹氏に4年間師事。その後、自己のバンドで各種コンテストに参加する。
【主な受賞歴】
浅草JAZZコンテスト グランプリ受賞
吉祥寺JAZZコンテスト グランプリ受賞
横浜JAZZプロムナード '94 コンペティショングランプリ受賞 横浜市民賞受賞
キングレコード「日本ジャズ維新塾」 グランプリ受賞 岡安芳明賞受賞
 
1990年代は精力的に活動をしていたが、2000年に入り、十数年の間活動休止。その後は2014年夏より活動を再開。
現在は、都内を中心に、「日本一ギターのうまいサラリーマン」を目標にライブや講師として活動中。


【ギター教えます】
 僕は有名ミュージシャンではないですが、ずっと独学でやってきて「ジャズのアドリブが全くできない」とか「そこそこ弾けるようにはなったが、なんかジャズっぽくないなー」など、自分のギター・プレイに不満な方や伸び悩んでいる方の気持ちは一番わかっているつもりですし、そんな方達の手助けができるかなーと感じています。また、このブログで連載している「Pat Martino奏法研究」等について「もっと詳しく教えてほしい!」とか「一週間に一回ペースの小出しでなく、時間をかけてじっくり教えてほしい」みたいな人にも力になれるかな?と思ってます。

 東京都杉並区に住んでいますので、通える方は僕の自宅、遠方の方や通うのは大変という方にはリモートでも教えています。レッスン内容や頻度は生徒の方々の希望に合わせて決めています。

 興味のある方はメールやメッセージ、もしくはブログのコメント送信等どんなやり方でも良いのでご連絡くだされば詳細をお伝えいたします。

 それではお待ちしています!!

Mail : rymk.takeda@gmail.com

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