僕のソロ・ギター道場の動画を見た方がFacebookで下のようにコメントを書いていただきました。
【質問】
武田 謙治さんのような、手首の柔らかいピッキングが理想なのですが。音の粒も揃っていて美しいです。ピッキングの上達にはどの様な練習が良いのでしょう?宜しければご教示頂けませんか?
【回答】
ありがとうございます。ピッキングについては昔から非常に大きなコンプレックスがあります。少し質問の回答から離れてしまうかもしれませんが、書いてみようと思います。
僕はもともとツェッペリンやパープルなどが大好きなロック・ギタリストでした。したがって、手首をブリッジに固定して、手首のスナップを聞かせてグリグリ弾きまくるタイプでした。ダウン・ピッキング中心でアタックも強かったと思います。自分で言うのも何ですが、すごく厚みのある音で良い感じだったと思います。
高校に入った頃からフュージョンが流行し、僕もリトナーやカールトンが好きになったのですが、僕のようなピッキングでは彼らのような早いパッセージは弾けるようになりませんでした。
大学時代にカシオペアのライブに行き、野呂さんのピッキングを見て愕然としました。ピックを親指と人差し指でつまみ、指先をクネクネさせて弾いていました。手首から下は全く動かないのです。無駄な動きがないので速く弾けるのだと思いました。それからというもののずっとそのピッキングを練習し続けましたが、結局はできるようになりませんでした。
ジャズをやりだした頃にジョージ・ベンソンのあの速いパッセージに憧れ、逆アングルのピッキングも練習しましたが、やはりこれもダメでした。手首が慣れない角度のためか疲労してしまい、数年くらいしか続けられませんでした。
メセニーのピッキングも随分参考にしました。親指、人差し指、薬指の3本でピックを支え、雨垂れ形のピックの丸い方で弾くというやつ。今の僕は3本指では押さえていませんが、丸い方で弾くやり方は音が太くまろやかになるので、これだけは今も続けています。
色々試行錯誤してきましたが、結局は僕の原点である弾き方「手首をブリッジに固定し、手首のスナップを効かせて弾く」というフォームに戻ってしまいました。ただ、ピックの持ち方は先ほど書いたように「雨垂れ形のピックの丸い方で弾く」やり方です。
エコノミー・ピッキングの早弾きにも憧れましたが、あの弾き方ではジャズの8分音符のノリが出せないことがわかりました。あのやり方で、8分音符のグルーブが出せているギタリストは、僕の知る限りいません。僕の場合は、ある特定のフレーズや3連の時以外はオルタネート・ピッキングです。
僕の右手のフォームはピックの形状や弦に当てる場所は違いますが、パット・マルティーノに似ている気がします。映像を見て研究したことはないですが、ずっとあのノリや音を何とか自分のものにしようと弾いてきているので、結果として似てきたのだと思います。
手首が柔らかいとお誉めいただいたのですが、僕のように手首から下を動かす弾き方では、ホールズワースに代表されるあんな感じの早弾きは絶対できませんし、早弾きどころか「トレモロ」ができません。したがって、マンドリンや「ハイウェイ・スター」は弾けませんw。ただ、僕はそれより8分音符のグルーブを選択しました。
ただ、自分の動画を改めて見てみると、最近少し右手のフォームが変わってきているみたいです。手首をブリッジに軽く固定はしていますが、一箇所に固定するのではなく、1弦から6弦に向かうときに手首の位置もそれに合わせて少しづつ移動しているようです。こうすることで、手首から下の動きが以前よりは少なくなり、弦に当たるピックの角度が1弦〜6弦全てほぼ同じ角度になって、音の粒が揃ったのだと思います。ここ数ヶ月は多少早く弾けるようになったと感じるのもこのおかげかもしれません。あと、使用ピックは昔からですが、フェンダーのExtra Heavyの雨垂れ形。どこにでも売ってる1枚100円のやつです。
長くなってしまいましたが、色々と考えずに、その時その時で目指すギタリストの音を何とか再現しようと試してみるのが良いのではないでしょうか?正解はないと思いますので。
ピッキング練習でいうと、もしエコノミー・ピッキングでないのであれば、やはりメトロノームに合わせ、アップダウンで少しづつ速度を上げていくのが通り一遍ですが有効な練習なのではないかと思います。また、音の粒を揃えるには、先にも書きましたが、全ての弦に当たるピックの角度が一定であることが必要なので、先のメトロノーム練習の時に常に右手を見ながら角度に気をつけて練習するのが良いのではと思います。
こんな感じでよろしいですか?
ありがとうございます。
頑張ってください!