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僕の音楽史(187)

【1994年】

「すげー!動いてるよ!」

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 マルティーノの教則ビデオで、初めて「動くマルティーノ」を目の当たりにして驚愕しましたが、もっと驚愕したのは、彼の解説する理論の中身でした。

 「マイナー・コンバージョン・コンセプト」

 これは僕が彼のフレーズ・コピーを必死にやっていて1987年に気がつき(僕の音楽史(141)を参照)、その後の布川さんのレッスンの時にも「何で理論のこと知らないのに弾けるの?」と聞かれ、ネタバラシをしなかった「世紀の大発見」、まさにそのものでしたw。

 「やはりマルティーノはこう考えていたんだ!」

 彼から教わったのではなく、自分で彼の演奏を研究して気がつき、それがことごとく当たっていたことに最大の喜びを感じました。彼の説明ははもう全て頭や体に叩き込まれていたものでしたが、このビデオを見ることでもう一つ上のステップに行けた気がします。

 そして、彼のピッキング・フォームに僕はそっくりだったことも驚きで嬉しかったのです。僕は右手のフォームやピッキングにすごく悩んでいました。マルティーノの前にベンソンに入れ込んでいた時期もあって、あの逆アングルの「加速するピッキング」に憧れていました。ベンソンは「速い」だけでなく「加速」します。音符の速度がぐんぐん速くなり、たたみかけるように短い時間の中に詰め込んでくるのです。野球に例えると、「キャッチャーの手元に届く前に伸びる球」のような感じです。一方、マルティーノは速弾きは速弾きでも、ある一定の速度をキープし、加速することはありません。ただ、ひとつひとつのアタックが強靭です。これは、ベンソンのようにピックを指先でつまんで逆アングルで弾くことでは絶対得られないと思いました。

 このビデオを見る前に彼のピッキング・スタイルを何枚かの写真と合わせて想像していました。マルティーノのアルバム「デスペラード」の裏ジャケットに、あの巨匠レスポールがマルティーノのピッキングについてこう書いていました。

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 ”His picking style was absolutely unique.He held his pick as one would hold a demi-tasse.Pinky entended,very polite,"

 「彼のピッキング・スタイルは大変ユニークなものだった。彼はまるでデミタスのコーヒーカップを握るような感じでピックを握っていた。小指がまっすぐ伸びていた」


 僕にはクラッシックギターを弾いている時から右手に悪い癖がありました。それは「小指が伸びている」ことでした。変に力が入ってしまい、いつも先生に注意されていましたし、輪ゴムで隣の薬指と束ねることで直そうと試みましたが、一向に治りませんでした。ピックを持つようになっても、この癖は残ってしまっていました。

 彼のピッキング・スタイルについてのレスポールの言葉を見て、もう癖を治す意味などないと思いましたし、彼と同じ癖があることに大きな喜びを感じました。

 こうして出来上がった僕のピッキング・スタイルが、ビデオで見る彼の右手のフォームにかなり近かったのは最高の喜びでした。

 こうして、パット・マルティーノは僕の中で「神」になりましたw。



Pat Martino奏法研究【完全版】第2章 Horizontal Movement(1)

(1)5つのフォーム

 パットの演奏の特徴としては、「スケールライクで長尺なフレーズ」であることは言うまでもないことと思います。スケールライク、ここではパットの「マイナー・コンバージョン」のベースとなっている「ドリアン・スケール」を使って話を進めて行きます。

 「長尺のソロを実現するためには何が必要か?」

 これは「指板を隅から隅まで使えるようにする」技術が必須となってきます。そして、「それぞれのポジションを連結させて弾ききる」技術が必要です。

 写真の指板図をご覧になってください。
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 Gm7のコード・フォーム(黒丸)とその付近に存在するGドリアン・スケールの音をプロットしたものです。指板上はFORM1〜FORM5までの5つのポジション(運指)が想定できます。まずはこの5つのフォームを体に覚え込ませることが必要です。

※これから当面の間解説していくことは、パット・マルティーノの著書である「Linear Expressions」やビデオ作品である「Creative Force」に基づいています。

ギター購入騒動記(132)

2020年7月23日(木)久々にギタープラネットへ!

 この日、次男の通う駿台予備校の保護者会があったので御茶ノ水に出かけましたので、帰りに当然ギター・プラネットに寄りました。

 いつものSさんと楽しく情報交換しました。壁に目をやると、以前Sさんから聞いていた「パット・マルティーノ・シグネチャー・モデル」が入荷していました。

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 「入荷したら是非武田さんに弾いていただきたいですね!」なんて言われていましたが、この日は試奏しませんでした。購買意欲がある程度落ち着いてしまったのが大きな理由なのですが、正直、この楽器を使うようになってからのマルティーノの音、好きになれないのです(すみません!)。もちろん楽器のせいではなく本人の加齢の問題かもしれないのですが。以前プラネットに入荷し、すぐに売れてしまったGibsonのシグネチャーの方がむしろ好きでした。しかも値段が税込100万越え!欲しくたって全く手が出ません。楽器に100万をかける金銭価値観は僕にはありません。100万円の楽器、買う気もないのに試奏をするのは申し訳ないとも思いました。

 1時間ほど楽しくお話をし、1本のギターも試奏することなくお店を後にしました。

 

 

 

僕の音楽史(186)

【1994年】

 こんな時に衝撃のビデオ映像が発売されていることを知りました。

 衝撃のビデオってのは下の2本です。「Creative Force Part 1&2 / Pat Martino」

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 この時点ではデイブ・ストライカーに夢中でしたが、それも元をたどれば、マルティーノ直系だからでした。そして、1987年当時マルティーノをコピーしまくっていた頃に気がついた「世紀の大発見(マイナー・コンバージョン)」が僕の演奏スタイルの基盤になっていたので、彼とメセニーについてはいつの時期も別格に考えていました。そして、同じ別格にしてもメセニーとはまた、まるで違いました。「別格中の別格」でした。メセニーは何度もライブに足を運んでいました。彼は僕の目の前で弾きまくっている「人間」でしたw。でも、マルティーノは違いました。彼は1976年脳動脈瘤で倒れ、それ以来80年代後半に復帰したとの噂を聞いていましたが、まるで音沙汰がありませんでした。ユーチューブもない時代、「動くマルティーノ」というのを一度も見たことがありませんでした。目にするのは昔の写真ばかりでした。僕の心の中で彼は偶像化、神格化されていきました。そんな彼が映像で観れるというのです。これはもう奇跡としか言えません。

 記憶が定かではありませんが、このビデオの存在を知ったのは、以前この音楽史の常連だった旧友の新保くんに会った時だったと思います。にたまたま彼が「知ってる?御茶ノ水のディスク・ユニオンにパット・マルティーノの教則ビデオが売ってたぞ。モニターでやっていたのを見たけど、なんか面白ろそうだぞ!」と教えてくれたのです。

 話を聞いた翌日すぐに、御茶ノ水まで足を伸ばして即買いに行きました。

 帰りの電車では、期待と興奮でもう胸が苦しくなるほどでした。自宅に着き、ビデオデッキにセットして再生を始めます。文字のテロップの後にいきなり彼のライブ映像が飛び込んできました。

 「すげー!動いてるよ!」

 って、動いているのは当たり前ですw。

 

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ジャンル : 音楽

Pat Martino奏法研究【完全版】第1章 はじめに(1)

【はじめに】

 今まで書いてきた「Pat Martino奏法研究」と「マイナー・コンバージョン・コンセプト」を一つにまとめ、「Pat Martino奏法研究【完全版】」として新たな講座をスタートさせることにしようと思います。今まで思いつきで書き始め、途中から2本だてにしたりしましたが、2つの講座の位置付けが曖昧だったので、整理・統合しようと思います。また、先の話にはなりますが、ここ数ヶ月研究している彼のソロ・ギターの解説もしていきます。最初の方は特に目新しい内容は登場しませんが、以前よりはわかりやすい書き方を心がけようと思います。また、後半は今まで解説してこなかったことについても言及していきます。あと、どちらかというと「ギター奏法」や「フレーズ」に重きを置いて解説し、マイナー・コンバージョン等の理論や概念は必要最小限にとどめようと思います。したがって、中級〜上級者向けの内容になることをご容赦ください。それでは早速始めます。

【The Basic Concept】

 多くの演奏家は個々のコードに対して、それにあてはまる特定のスケールやモードを選択して演奏します。一方、マルティーノはマイナー・コードやポジションに置き換えて(マイナー・コンバージョン)演奏します。例えばドミナント7thコード上でインプロバイズする時、彼は「5度上のマイナー」を単純に考えています。例えばF7だったら、Cm7と考えているわけです。

 そしてマイナー7thに置き換えた場合、彼はドリアン・スケールを選択することが極めて多く、Cm7の場合でいうとCドリアン(C,DE♭,F,G,A,B♭)です。一方置き換える前のドミナント7thであるF7は一般的にはFミクソリディアンを使用することが多く、これは F,G,A,B♭,C,D,E♭で置き換える前のCドリアンと全く同じ音なのです。

 この例ではドミナント7thについて言及しましたが、ほぼ全てのコードと言って良いほど彼はドリアン・スケールに置き換えてインプロバイズするのです。

 同じことなのになぜわざわざ置き換えるのかは「簡素化」が目的であり、これには「ギターという楽器の特性」も大きく関係しているのだと考えられます。例えばCドリアンとD♭ドリアン、ピアノでそれぞれを弾くと黒鍵の関係もあって運指は大きく違ってきます(白鍵・黒鍵の順番が違ってきます)。したがって、スケール上のひとつひとつの音名を把握していないと簡単には弾けません。でも、ギターは指板上を平行移動するだけでD♭に限らず12キーが一つの運指で弾けてしまうわけです。そして、全てをマイナー7thに置き換えれば、極端な話、ドリアン・スケールの運指一つ覚えればなんでも弾けてしまうことになります。

【フレーズの特徴】

 まずは下の動画2つを確認ください。





 どちらもCm7上のプレイなのですが、これから解説していく「パット・マルティーノ奏法」というのは2番目の動画のようなプレイを言います。Cドリアン・スケールをベースにクロマチック・ノートやパッシング・ノートを使った長尺で流れるようなフレージングのことを言います。

 次回からはこのようなフレーズを弾くための基礎的な技術習得のための練習について解説していきます。
 

 

 

テーマ : JAZZ
ジャンル : 音楽

プロフィール

武田 謙治

Author:武田 謙治
1962年生まれ 新潟県出身
小4よりクラシックギターを始める。
中学~高校時代はロック、フュージョンに傾倒。
慶應義塾大学入学と同時に、慶應ライトミュージックソサェティに所属し、ジャズの演奏を始める。
卒業後は、働きながら音楽活動を継続し、ジャズギタリスト布川俊樹氏に師事し、各種コンテストにも参加。
【主な受賞歴】
浅草JAZZコンテスト グランプリ受賞
吉祥寺JAZZコンテスト グランプリ受賞
横浜JAZZプロムナード '94 コンペティショングランプリ受賞 横浜市民賞受賞
キングレコード「日本ジャズ維新塾」 グランプリ受賞 岡安芳明賞受賞
 
1990年代は精力的に活動をしていたが、2000年に入り、十数年の間活動休止。2014年夏より活動を再開。現在は、都内を中心に、「日本一ギターのうまいサラリーマン」を目標にライブ活動中。


【ギター教えます】
 僕は有名ミュージシャンではないですが、ずっと独学でやってきて「ジャズのアドリブが全くできない」とか「そこそこ弾けるようにはなったが、なんかジャズっぽくないなー」など、自分のギター・プレイに不満な方や伸び悩んでいる方の気持ちは一番わかっているつもりですし、そんな方達の手助けができるかなーと感じています。また、このブログで連載している「Pat Martino奏法研究」や「ジャズギター裏口入学」等について「もっと詳しく教えてほしい!」とか「一週間に一回ペースの小出しでなく、時間をかけてじっくり教えてほしい」みたいな人にも力になれるかな?と思ってます。

 東京都杉並区に住んでいますので、通える方は僕の自宅、遠方の方や通うのは大変という方に「Skype」で教えています。レッスン頻度は教わる皆様に合わせて決めています。

 興味のある方はメールやメッセージ、もしくはブログのコメント送信等どんなやり方でも良いのでご連絡くだされば詳細をお伝えいたします。

 それではお待ちしています!!

Mail : rymk.takeda@gmail.com

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