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マイナー・コンバージョン・コンセプト総合編

【Visit(6)】

 続いてVisitのA♭13/D7#9の2小節ですが、これはマイナーコンバージョンをかじっている方は一番大切な部分の一つですね。この曲はKeyがGのブルースですから、D7#9はⅤ7、その前のA♭7はその裏コードです。ここでのコンバージョンはもうほとんどこれ一択です。

 D7#9 → E♭m(E♭ドリアン)

 「V7thは半音上のマイナー」と考えても良いですし、

 D7#9 → A♭7(裏コード) → E♭m(A♭のマイナーコンバージョン)

 と考えてもオーケーです。

 動画はサビのC7(13)から8小節を繰り返していますが、解説の5、6小節部分しか弾いていません。



 これ、裏を返して言いますと、D7でE♭mを弾くと言うことは、裏コードA♭7を想定して弾く」ということとなり、これは「D7でオルタードを弾く」ってことになるわけです。だから、すごくジャージーな感じになります。

 僕はオルタード・スケールというものを弾けません。教則本には当然出てくるのですが、馴染みのない音の並びで覚えることが全くできませんでした。ですが、このマイナー・コンバージョンのおかげで、結果的にオルタード・スケールを弾いていることになります。僕の演奏はオルタード・スケールに縛られているようにむしろ聞こえているでしょうが、頭の中にオルタードの概念はありません。

 以上でパットの楽曲を題材にマイナー・コンバージョンの総まとめ・総復習を行ってきました。

 一旦は「マイナー・コンバージョン・コンセプト」については終わりです。知識的なことはこれだけ知っていれば十分と思います。後は「Pat Martino奏法研究【完全版】」の中で、必要があれば説明していきたいと思います。

 長い間、ご愛読ありがとうございました!

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ジャンル : 音楽

マイナー・コンバージョン・コンセプト総合編

【Visit(5)】

 今回はサビの部分の最初の4小節について解説しようと思います。

 進行はC13/B+7/B♭13/A+7です。コード表記の仕方があまり良くなかったかもしれません。+はAugumentという理解で、Cのキーで言うと、C、E、G#とギタリストは一般的に考えてしまいますが、どちらかとC7(♭13)、要は7th(C、E、G、B♭)に♭13(A♭)のテンションを入れるという風に考えてください。

 C7(13)/B7(♭13)/B♭7(13)/A7(♭13)/

 これが、我々ギタリストからはわかりやすかったですね。

 マイナー・コンバージョンを考える前に「7thの半音下降」なのですから、下動画のようにC7を1フレットずつ下げていけば良いわけです。わかりやすく同じモチーフを半音下降させていますが、下がるたびに少し変化を与えるのが実際は良いと思います。



 次はマイナー・コンバージョン的発想です。B7(♭13) → Cm(Cドリアン)にコンバージョンします。これは理解できますよね?マイナー・コンバージョンの基本中の基本です。え?って人はマイナー・コンバージョン・コンセプトの(11)から(13)あたりを復習してみてください。A7(♭13) → B♭m(B♭ドリアン)です。したがって、全体をこう考えます。

 C7(13)/B7(♭13)/B♭7(13)/A7(♭13)/  →  C7(13)/Cm/B♭7(13)/B♭m/

 このようにコンバージョンすれば、最初の2小節はCをメジャーとマイナーを1小節ずつ、次の2小節はB♭のメジャーとマイナーを1小節づつ弾けば良いのだと考えることができ、俄然気持ちが楽になります。



 さらに、C7(13) をGmへ、B♭7(13)をFmにコンバージョンして

  C7(13)/B7(♭13)/B♭7(13)/A7(♭13)  →  Gm/Cm/Fm/B♭m/

 最初の2小節はGmのⅠーⅣ、次の2小節はFmのⅠーⅣと考えてしまえば、もっとざっくりと大きく捉えてアドリブできます。※動画はありません


 次回はサビの残りの2小節を解説します。

 

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マイナー・コンバージョン・コンセプト総合編

【Visit(4)】

 今回も最初の8小節、G13-A♭13の繰り返し部分ですが、前回とは違うマイナーにコンバージョンしてみます。

 G13(7) →  A♭m(A♭ドリアン)にコンバージョンします。

 なぜこのコンバージョンが成り立つかは以前のMultiple Substitutes(3)で解説したとおり、ディミニッシュ(短三度)移動で説明が付きます。前回Fm(Fドリアン)でコンバージョンしたので、その短三度上のA♭m(Aドリアン)でのコンバージョンを想定したわけです。最初はインサイドな感じ(ブルースペンタやDドリアン)で入って、A♭mに移行することを2回ほど繰り返しています。



 最後に今まで解説したコンバージョンをごちゃまぜにして弾いてみます。G7をDm、E♭m、Fm、A♭m、そしてGのブルースペンタトニックとランダムに想定して弾いていきます。



 次回からはサビの部分の解説に移ります。

 
 

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マイナー・コンバージョン・コンセプト総合編

【Visit(3)】

 今回も最初の8小節、G13-A♭13の繰り返し部分ですが、違うマイナーにコンバージョンしてみます。

 G13一発と考えて、

   G13(7)   →   Fm(Fドリアン)にコンバージョンします。



 なぜこのコンバージョンが可能かは過去の投稿の「Multiple Substitudes(3)」をご覧になっていただければおわかりになると思います。この中では、「ディミニッシュが短三度ずらしで構成音が同じ」ことを利用して説明してますが、実際のところは

 「7thコードは全音下のマイナー・スケールで弾ける」

 とでも記憶しておけばわかりやすく、すっきりするのではないでしょうか?

 G7上で「Fドリアン・スケール」を弾く事は、結果的に「Gフリジアン・スケール」を弾いていることになるので、動画のような雰囲気になるわけです。これ、リッチー・ブラックモアもよくやっていますよねw。

 ただ、マルティーノ自身はあまりこのコンバージョンはやらない気がします。複合的なコンバージョンとして、ある瞬間のフレーズを切り取ってみると、このように分析できる部分がありますが、ずっとこのコンバージョンで弾ききることはあまりなくて、やはりGブルース・スケールとDドリアン・スケールを使うことが圧倒的に多いと思います。

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マイナー・コンバージョン・コンセプト総合編

【 Visit(2)】

 まず最初の8小節、G13-A♭13の繰り返し部分です。

 この曲は変形ブルースですから、それこそ「マイナー・コンバージョン」なんて難しく考えずに、KeyがGのブルースと考えて「Gブルース・ペンタトニック」でアドリブすることができます(下の動画参照)。ただ、ここは「マイナー・コンバージョン・コンセプト」のコーナーですから、これについての解説は行いません。パットは「マイナー・コンバージョン」ばかりが取り沙汰されますが、この「ブルース・ペンタ」のフレーズが実に強力です。





 まず最初にコンバージョンで考えられるのは、G13(G7)ですからDm(Dドリアン・スケール)ですね。Dドリアンってのは、「レから始めるドレミ...」「レミファソラシドレ」要するに「ドレミファソラシド」ですから、とても弾きやすいですね。まずは下のコンバージョンを頭と体に叩き込んでください。基本中の基本です(下の動画参照)

 G13(7)  →  Dm(Dドリアン)



 少し話を発展させましょう。

 A♭13は次の小節のG13に向かう経過和音、半音進行ですから、あまり気にせず上のように「G13(7)一発」と考えて、ずっとG13(7)のコンバージョンであるDドリアンで弾いていますが、今度はあえてA♭13(7)を意識して、E♭m(E♭ドリアン)を弾きます。コードに合わせて、その都度半音進行で弾き分けても良いですが、少しせわしなくなりますから、ある程度の長さをE♭ドリアン(A13)で弾き切ります。そして、適当なところでDドリアン(G13)に戻ってくるようにします。「A♭13を無視してずっとG13で弾ける」のなら、逆転の発想で、「G13を無視してずっとA♭13で弾ける」ってわけです。



 これは 「G13(7) をE♭m(E♭ドリアン)でコンバージョンしている」ということとは違いますが、アウト感を得るための一つの方法です。


 それでは次回もお楽しみに!

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プロフィール

武田 謙治

Author:武田 謙治
1962年生まれ 新潟県出身
小4よりクラシックギターを始める。
中学~高校時代はロック、フュージョンに傾倒。
慶應義塾大学入学と同時に、慶應ライトミュージックソサェティに所属し、ジャズの演奏を始める。
卒業後は、働きながら音楽活動を継続し、ジャズギタリスト布川俊樹氏に4年間師事。その後、自己のバンドで各種コンテストに参加する。
【主な受賞歴】
浅草JAZZコンテスト グランプリ受賞
吉祥寺JAZZコンテスト グランプリ受賞
横浜JAZZプロムナード '94 コンペティショングランプリ受賞 横浜市民賞受賞
キングレコード「日本ジャズ維新塾」 グランプリ受賞 岡安芳明賞受賞
 
1990年代は精力的に活動をしていたが、2000年に入り、十数年の間活動休止。その後は2014年夏より活動を再開。
現在は、都内を中心に、「日本一ギターのうまいサラリーマン」を目標にライブや講師として活動中。


【ギター教えます】
 僕は有名ミュージシャンではないですが、ずっと独学でやってきて「ジャズのアドリブが全くできない」とか「そこそこ弾けるようにはなったが、なんかジャズっぽくないなー」など、自分のギター・プレイに不満な方や伸び悩んでいる方の気持ちは一番わかっているつもりですし、そんな方達の手助けができるかなーと感じています。また、このブログで連載している「Pat Martino奏法研究」等について「もっと詳しく教えてほしい!」とか「一週間に一回ペースの小出しでなく、時間をかけてじっくり教えてほしい」みたいな人にも力になれるかな?と思ってます。

 東京都杉並区に住んでいますので、通える方は僕の自宅、遠方の方や通うのは大変という方にはリモートでも教えています。レッスン内容や頻度は生徒の方々の希望に合わせて決めています。

 興味のある方はメールやメッセージ、もしくはブログのコメント送信等どんなやり方でも良いのでご連絡くだされば詳細をお伝えいたします。

 それではお待ちしています!!

Mail : rymk.takeda@gmail.com

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