Pat Martino奏法研究(39)
~オーギュメントと#9thコードへの応用(1)~
まず下の譜面をご覧ください。これは、Pat Martinoの「Interchange」という楽曲のイントロ部分です。彼の書いた譜面を見たわけではないですし、ピアノのサウンドを聴くともっとたくさんの音が聴こえてきますが、ギターで近いサウンドを出すには譜面の音かなと思います。ちなみにyoutubeでこの曲が聴けるので、リンクを貼っておきます。
Interchange
1-2小節が FAug/E 、3-4小節がE7#9の繰り返しです。この2つのコード・サウンドはPat Martinoのサウンドを語るには極めて重要なコードなので、雰囲気を頭に叩き込んでおいてください。彼のダークなサウンドの出す鍵でもあります。

さて、このコード上で何を弾く?と言った時に、下ののようなマイナー・コンバージョンが考えられて、Patも実際にこの考え方をベースに弾いています。それでは、例によって下の指板の図を参考にお読みください。

【図1】は最初の2小節部分です。E音はベースがペダルでぐいぐい弾いてますから、この際無視して、上のFAugの部分を指板で押さえたものです。#5のC#を半音動かしてDにするとDmの出来上がりです。したがってDドリアンで合うのではないかってわけです。弾いてみてください。OKですよね、でも、なんか物足りませんね。オーギュメントがオーギュメントであるための大事な#5(C#)の音を勝手にずらしてコンバージョンしているわけですから・・・。したがって、Dドリアンをベースにアドリブして、ところどころC#音を加えて弾けばいい感じになります。「Dハーモニックマイナー」と言っても良いのですが、これも彼に直接聞いたわけではありませんが、彼は多分「Dドリアン+C#」で考えていると思います。彼の口から、ドリアン以外のマイナースケールは聞いたことないですし、他の楽曲でのDドリアンのフレーズをまんま、あてはめているので、間違いはないと思います。
【図2】は3、4小節のE7#9thです。これもルートのEを半音ずらしてFにすると、Fm6(9)が出来上がって、めでたくFドリアンでアドリブできます。ただ、これもちょっと注意が必要で、大事なルートを半音ずらしていますから、いくらFドリアンにコンバージョンできるといっても、フレーズの最後をFで終わったりすると、ペダルのE音とぶつかって、変な感じになります。
パットは教則ビデオ「クリエイティブ・フォース Part2」の中で、Part1の「ディミニッシュ・コンセプト」と同様に「オーギュメント・コンセプト」として解説していますが、「概念」のみの解説で、実際にどう応用していくかが個人的に正直わかりにくかったので、E7#9の解説と絡めて実際の彼の楽曲を使って解説してみることにしました。
次回はこのイントロを使って、さらに一歩踏み込んでいきます。
お楽しみに!