ギター購入騒動記(55)
実はこの1週間は、非常に仕事が立て込んでいて、会社の帰りに試奏に行く余裕など本来はありませんでした。残業してでもまとめ上げなくてはいけない報告書がありました。そうは言ってもギターにかける集中力と行動力はもう自分では抑えることができません。どうしたかと言うと、会社を定時に上がるために朝7時に会社に行って仕事をしていました。休日も会社に行って何時間か仕事をし、それから楽器屋に行くようにしていました。「ギターのおかげで仕事がはかどる」というまさに「サラーリーマン・ギタリストの鏡」のような状況でありました(笑)。っていうか、「目の前に人参をぶら下げられた馬」のような状況ですね。
話をギターに戻します(笑)。
予定通り会社を定時に上がり、お茶の水の「ギター・プラネット」向かいました。他人に買われないようにあらかじめ連絡を入れておこうとも思いましたが、あえてそれはしませんでした。「運命」とか「縁」とか「めぐり合わせ」とか「出会い」とかをあえて試そうと思いました。
過去にはネット予約したレスポール・スタンダードをお店の手違いで目の前で他のお客に買われたり、先日のビンテージ楽器のように買うつもりになったにも関わらず、ちょっとした事で購入に至らなかったりと残念なこともありましたが、みんな「縁」がなかったのだと思うようにしてました。いつもお世話になってる吉祥寺の店員さんはよく言います。「楽器は最終的には一番欲しい人の手元に行くんですよ。」このES-775が僕にとってそんな楽器なのかを確かめようと思いました。
お店に着きました。3Fのセミアコ/フルアコのフロアに駆け上がります。閉店まで1時間ほどしかありません。あたりを見回します。すぐに問題の775が目に飛び込んできました(下の写真)。


幸いフロアには他のお客さんはいなかったので、店員さんは接客待ちの状態でした。すかさず声をかけます。
「ネットでこの楽器を見て、試奏しに来ました!」
店員さんはチューニングしたのちに、楽器を手渡してくれます。
僕の持っている175より多少重い気がしました。ボディサイズは多分175と同じと思います。椅子に座って試奏用のツイン・リバーブで鳴らす前に生音でちょっとだけ弾きます。
「え?全然音が違う!音の粒立ち、輪郭がはっきりしてる。すげー、すげー!」
本当の事を言うと、もうこの10数秒くらいでほぼ意志が固まってしまいました。
こんどはアンプで音を出します。
「Gibson 万歳!」って感じでした。もうなんとも言えないウォームでアダルトな音がします。これは僕の175やレスポールカスタム もそうですが、リバーブなんかかけちゃいないのに、なんとも言えぬ空気感です。細めのラウンドワウンドが張ってあるのに、それなのにこの温かみのあるサウンドです。
ネックも僕の175より握った感じは多少太い気がしましたが、逆にその方が好みでした。弦高はかなり低くセッティングしてありましたが、一箇所のビビりもなくしっかり調整してありました。ちょっとした傷や塗装の痛みはありましたが、全く気にならない綺麗な楽器でした。
店員さんにここ数日の話をしました。
「もともとビンテージの1Pの175を狙っていたが、ウェザーチェックと値段の関係で諦めた事」
「165狙いに変更し、ある楽器屋で試奏して結構気に入ったので購入予定だったが、ネットでたまたまこの楽器を見つけた事」
店員のSさんはしっかりお話を聞いてくれました。結構興奮していたので、いつもにも増しておしゃべりでしたね。
で、結局
「買いますので、数日確保してもらえますか?」
ただ、その場では契約しませんでした。現金は持ち合わせていませんでしたし、どんな感じの支払い方にするかあまり考えていなかったのと、場合によっては数本の楽器を下取りしてもらって買おうとも思っていたりと、家でゆっくりと考えたかったからです。
「175の1p狙いだったら、この東海楽器の175(ギタープラネットのオリジナル・オーダー品)も折角だから弾いてみます?」ということで、この楽器も弾かせてもらいました。

この試奏の話は また次回!