僕の音楽史(229)
松原慶史君のセカンドステージが始まりました。
まずは音にびっくりしました。テレキャスター・タイプのギターに比較的太い弦を張っている事もあってか音圧があって、僕好みの音でした。ピッキングも正確でミストーンも殆どなく、ストレスなく耳に飛び込んできました。これで、一気に彼の世界へ引き込まれました。
また、コードワークが実に多彩で仰天ものでした。エレガットで弾くバラードは実に美しく(多分Body&Soulだったと記憶しています)、まるでピアニストのようでしたし、独特の世界観があり、僕の中では未知の世界観でした。
他にも素晴らしいところは沢山あって、書き出したら切りが無いのですが、個人的にはこの2つ、特に1つ目の「音」に衝撃を受けました。
今まで僕が考え、演奏する「ジャズギターの条件」は偏ったものでした。「箱物のギターに太い弦」「ノーエフェクトのクリアでトレブルを押さえたサウンド」の2つが絶対条件と考えていました。もちろん、僕は根っからのジャズメンではなく、ロック〜フュージョン世代で育ったギタリストですから「ソリッドギター」や「オーバードライブ」が嫌いでありませんでした。むしろ大好きでした。ただ、他人がやっているのは良いのですが、自分が「ジャズギター」をプレイする時は最初の2つの条件が「僕の目指すジャズギター」でした。「ソリッドギター」では僕の考えるジャズギターの太い音など出せるわけはないと思ってましたし、「エフェクター」は自分の弱点をカバーするものであって、上手けりゃそんなものは必要ない、くらいに考えていました。いや、無理にそう思おうとしてたのだと思います。そして、絵面的にも「ソリッドギター」を抱えて「足元にエフェクター」ってのは「ジャズギター」ではないと思っていました。
彼の演奏、テレキャスもどきのギターから出てきた音を聴いて、自分はもしかしたら大きな間違いをしていたなと感じました。彼のテレキャスターから出てきた音は実に太く、説得力があるものでしたし、空間系エフェクトを欠点をカバーするのではなく、得意な部分を一層際立たせるために利用していました。楽器の種類やエフェクターの有無なんかどうでも良くって「どんな楽器でも、どんな音でも自分というものが出せれば良い」と思いました。
アフターライブで彼とブルースを一曲演奏しましたが、今までの考えが崩れ、新たな考えが頭の中を渦巻いていて、本当はとても演奏するような気分ではありませんでしたw。
「箱物のギターにこだわることはない。」「エフェクターも使い方次第で武器になる」
彼のライブでこの2つを学びました。そして、ここから僕の「ソリッドギター爆買」が始まり、少しずつライブでエフェクターを使うようになっていきました。
その後何ヶ月か経って、彼と1年余同じライブステージに定期的に立つようになるのですが、当時は全くそんな事は考えていませんでした。これについては、また動画を含めご紹介していきたいと思います。

