Pat Martino奏法研究【完全版】第6章 Phrase & Groove(1)
まずは下の譜面の左側を御覧ください。

右手のピッキングのアップ・ダウンの話をします。全てダウンピックで弾いたりしてませんか?全てアップで弾いてる人はあまりいないと思いますが。あるいは弾くたびにまちまちだったりしていませんか?
ピッキングは人それぞれ、千差万別で正解というのはありません。オルタネートやエコノミー、弦のヒットの仕方も鋭角、平行、鈍角とあって、ここではどれが良いとか悪いとかを議論するつもりはありませんし、僕自身も未だ完全に定まっているとは言えません。あくまでパットの奏法研究という観点でお話していきます。
彼の場合はスウィープを多様したフレーズはたくさん弾きますが、基本はオルタネート・ピッキング、要するにダウン、アップの順に弾きます。それでは、譜面の左側の最初の4分音符D#音をダウン、次のD音をアップ、次の8分音符C音をダウン、最後のA音をアップで弾くのでしょうか?
違います。二重線右側の譜面を見てください。まず、音の長さ的には4分音符ではなく、8分音符と休符に近い感じです。そして、この8分休符と4分休符がポイントです。常にピックは8分音符でダウン・アップを繰り返し、休符の部分は弦にヒットさせませんが(空ピック)、必ずピックを動かします。D#をダウン、次の8分休符でアップ、次のD音でダウン、次の8分休符はアップ、次のC音はダウン、最後のA音はアップ、そして最後の4分休符でダウン・アップの動きです。
このように、常に8分音符の動きでピック(手首)を動かし続けていることで、あの8分音符(16分音符)の強力なグルーブが生まれてくと考えられます。下の動画はあえて空ピックの部分をコツンと音を出して弾くのを、何回かゆっくりと繰り返したのち、音を出さずに弾いています。
エコノミー・ピッキングの人は別にして、オルタネート中心の人は、これが全くできていない人が多いです。8分音符の部分は8分のアップダウンで弾いていますが、音符が長いと適当にアップダウンで弾き、毎回違った弾き方をします。これではジャズの8分音符のノリは生まれてきません。ピックを律儀に動かさないまでも、体や腕にこの8分のダウンアップの動きを感じながら弾かなくてはいけません。
最後に5年ほど前になりますが、僕の演奏を貼り付けておきます。無伴奏で「Oleo」を弾いていますが、8分音符中心のフレーズの中に出てくる4分音符のときも常にピックがダウンアップで動いていることがわかると思います。
参考にしてください。