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僕の音楽史(200)

【1996年】

 とうとう「僕の音楽史」は200回まで来ました!



 「なんだ、なんだ??え、ま、まじかよ!」

 客席の至る所でどよめきが起きています。それは「伝説のジャズギタリスト」が真っ赤の奇妙な形をしたソリッド・ギターを持って登場したからでした。もう卒倒しそうでしたw。

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 上の写真のギターはパーカー製のギターで、革新的な発想と独特な構造、そして奇抜な形状で当時は話題になったギターで、僕もテレビで何回か見たことはありました。このようなギターを持ってくるなんて誰も予想しなかったと思います。雑誌やビデオでの直近の彼の楽器は全て下の写真のエイブ・リヴェラによるハンド・メイド・ギターだったので、多分この楽器を使うんだろうなと思っていましたし、会場のファンも皆そう思っていたでしょう。彼自身は「どうだい?びっくりしたろう!」そんな表情に見えました。

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 パットがこのパーカーの楽器を使ったのは多分この日本ツアーとその後短い間だけのようで、もしかしたら軽量というところが理由の一つだったのかもしれません。ただ、しっかりと彼仕様に改造が加えられていて、後でわかったことですが、ネックは1弦015からの極太セットを張ることから太く作られており、トレモロ・ユニットやマスターボリュームを取り外してるとのことです。

 ステージに登場し、軽くチューニングのためにボンと弾いた、その5弦の開放A音で僕はもう気絶してしまいそうでしたw。ソリッド・ギターで、ジャズコーラス直結とは思えない極太の音です。そして、ビデオで聞いたそのまんまの低い声(当たり前かw)で1曲めのカウントでバンド4人が音を出した瞬間にもう感動のあまり胸が苦しくなりました。

 曲は「The Maker」「Interchange」「Nightwings」の3枚のアルバムを中心に3日感とも演奏されていましたが、曲順は毎夜少しづつ変えられていました。数分程度でしたが、ソロ・ギターでのプレーも聴くことができました。

 どの日もコンサートがクライマックスに近づくと「The Great Stream」が演奏されました。彼の楽曲でも1番の人気曲で、テーマが始まった瞬間、会場からどよめきが起こります。レコードのテイク以上にドラムスとのバースを加え、延々と繰り広げられる音の洪水に完全に飲み込まれてしまいました。

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 女性客はほとんどおらず、コアなギターファンばかりの感じで、パットが曲のブレイクで速いパッセージを弾くと、いちいち客席が盛り上がるといったまるでジャスのライブとは程遠い異様な雰囲気でした。
 
 ピアノ、ベース、ドラムスは比較的若いメンバーで、勢いがありましたが、正直パットの存在感、オーラの前にはどうでも良い存在でした(すみません!)。

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 演奏と関係ないことでひとつ、5歳の長男を連れて行った時のことです。僕らは前から3列目くらいのど真ん中に座っていました。パットは2〜3曲目の演奏途中に長男に気が付いたようで、ちょっとびっくりした様子で僕らの方を見ました。比較的年齢層が高い客席で5歳の子供はやはり目立つのでしょうw。そして、バッキングをしながら少し微笑み返してくれた様な気がしてとても嬉しかったことを覚えています。

 この3日間のライブは、僕にとって人生のうちで最高の音楽体験だったと思います。そして、その後度々来日するパットですが、この日のライブを超えるものは残念ながら僕的にはありません。もっとも初来日という状況もあったのかもしれませんが。

 

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プロフィール

武田 謙治

Author:武田 謙治
1962年生まれ 新潟県出身
小4よりクラシックギターを始める。
中学~高校時代はロック、フュージョンに傾倒。
慶應義塾大学入学と同時に、慶應ライトミュージックソサェティに所属し、ジャズの演奏を始める。
卒業後は、働きながら音楽活動を継続し、ジャズギタリスト布川俊樹氏に4年間師事。その後、自己のバンドで各種コンテストに参加する。
【主な受賞歴】
浅草JAZZコンテスト グランプリ受賞
吉祥寺JAZZコンテスト グランプリ受賞
横浜JAZZプロムナード '94 コンペティショングランプリ受賞 横浜市民賞受賞
キングレコード「日本ジャズ維新塾」 グランプリ受賞 岡安芳明賞受賞
 
1990年代は精力的に活動をしていたが、2000年に入り、十数年の間活動休止。その後は2014年夏より活動を再開。
現在は、都内を中心に、「日本一ギターのうまいサラリーマン」を目標にライブや講師として活動中。


【ギター教えます】
 僕は有名ミュージシャンではないですが、ずっと独学でやってきて「ジャズのアドリブが全くできない」とか「そこそこ弾けるようにはなったが、なんかジャズっぽくないなー」など、自分のギター・プレイに不満な方や伸び悩んでいる方の気持ちは一番わかっているつもりですし、そんな方達の手助けができるかなーと感じています。また、このブログで連載している「Pat Martino奏法研究」等について「もっと詳しく教えてほしい!」とか「一週間に一回ペースの小出しでなく、時間をかけてじっくり教えてほしい」みたいな人にも力になれるかな?と思ってます。

 東京都杉並区に住んでいますので、通える方は僕の自宅、遠方の方や通うのは大変という方にはリモートでも教えています。レッスン内容や頻度は生徒の方々の希望に合わせて決めています。

 興味のある方はメールやメッセージ、もしくはブログのコメント送信等どんなやり方でも良いのでご連絡くだされば詳細をお伝えいたします。

 それではお待ちしています!!

Mail : rymk.takeda@gmail.com

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