僕の音楽史(200)
とうとう「僕の音楽史」は200回まで来ました!
「なんだ、なんだ??え、ま、まじかよ!」
客席の至る所でどよめきが起きています。それは「伝説のジャズギタリスト」が真っ赤の奇妙な形をしたソリッド・ギターを持って登場したからでした。もう卒倒しそうでしたw。


上の写真のギターはパーカー製のギターで、革新的な発想と独特な構造、そして奇抜な形状で当時は話題になったギターで、僕もテレビで何回か見たことはありました。このようなギターを持ってくるなんて誰も予想しなかったと思います。雑誌やビデオでの直近の彼の楽器は全て下の写真のエイブ・リヴェラによるハンド・メイド・ギターだったので、多分この楽器を使うんだろうなと思っていましたし、会場のファンも皆そう思っていたでしょう。彼自身は「どうだい?びっくりしたろう!」そんな表情に見えました。

パットがこのパーカーの楽器を使ったのは多分この日本ツアーとその後短い間だけのようで、もしかしたら軽量というところが理由の一つだったのかもしれません。ただ、しっかりと彼仕様に改造が加えられていて、後でわかったことですが、ネックは1弦015からの極太セットを張ることから太く作られており、トレモロ・ユニットやマスターボリュームを取り外してるとのことです。
ステージに登場し、軽くチューニングのためにボンと弾いた、その5弦の開放A音で僕はもう気絶してしまいそうでしたw。ソリッド・ギターで、ジャズコーラス直結とは思えない極太の音です。そして、ビデオで聞いたそのまんまの低い声(当たり前かw)で1曲めのカウントでバンド4人が音を出した瞬間にもう感動のあまり胸が苦しくなりました。
曲は「The Maker」「Interchange」「Nightwings」の3枚のアルバムを中心に3日感とも演奏されていましたが、曲順は毎夜少しづつ変えられていました。数分程度でしたが、ソロ・ギターでのプレーも聴くことができました。
どの日もコンサートがクライマックスに近づくと「The Great Stream」が演奏されました。彼の楽曲でも1番の人気曲で、テーマが始まった瞬間、会場からどよめきが起こります。レコードのテイク以上にドラムスとのバースを加え、延々と繰り広げられる音の洪水に完全に飲み込まれてしまいました。

女性客はほとんどおらず、コアなギターファンばかりの感じで、パットが曲のブレイクで速いパッセージを弾くと、いちいち客席が盛り上がるといったまるでジャスのライブとは程遠い異様な雰囲気でした。
ピアノ、ベース、ドラムスは比較的若いメンバーで、勢いがありましたが、正直パットの存在感、オーラの前にはどうでも良い存在でした(すみません!)。

演奏と関係ないことでひとつ、5歳の長男を連れて行った時のことです。僕らは前から3列目くらいのど真ん中に座っていました。パットは2〜3曲目の演奏途中に長男に気が付いたようで、ちょっとびっくりした様子で僕らの方を見ました。比較的年齢層が高い客席で5歳の子供はやはり目立つのでしょうw。そして、バッキングをしながら少し微笑み返してくれた様な気がしてとても嬉しかったことを覚えています。
この3日間のライブは、僕にとって人生のうちで最高の音楽体験だったと思います。そして、その後度々来日するパットですが、この日のライブを超えるものは残念ながら僕的にはありません。もっとも初来日という状況もあったのかもしれませんが。