僕の音楽史(154)
夏も終わり、涼しくなったある日のリハーサルで西尾さんが言います。
「工大祭で演奏します?」
素晴らしいメンバー達とリハーサルをやっているだけで満足していたので、その時は人前で演奏することはあまり考えてはいませんでした。でも、やはり楽器を演奏している以上は自分が楽しんでいるだけではなく、人に聴いてもらい,評価を得るという事は大切な事だと思いましたし、楽器の上達には不可欠である事はわかっていました。したがって、出演することにしました。
学園祭までそんなに時間もないですし、50分ほどの演奏ですから、いつもリハーサルで演奏しているスタンダードを演奏することにしました。
学園祭は91年10月20日に行われ、その時の演奏を録音したカセットテープが残っています。演奏した曲は下の6曲でした。
Turnaround / Softly,as in a Morning Sunrise / The Gentle Rain / All Blues / There Is No Greater Love / All The Things You Are
セットリストを見ると結局今もずっと弾き続けている曲ばかりです。
当時演奏していたこれらの曲達、僕の中には明確に模範となる演奏がありました。
Turnaroundはメセニーの大宮フリークスでのシークレット・ギグでの生演奏。友人が隠し録りしたカセットテープを持っていて、そこでのパットの演奏をコピーしまくっていました。
Softlyは当然のことながらジョンスコのライブ盤での演奏。
The Gentle Rainはちょっと雰囲気が違いますが、マルティーノのSunnyでの演奏スタイル。16分音符で弾きまくっていました。
All Bluesは渡辺香津美さんのスタジオ・ライブをエア・チェックしたやつ。井野信義さんと日野元彦さんとのトリオでの演奏。
There Is No Greater Loveは布川さんのレッスンを録音した時の布川さんの演奏。
All The Things You Areはメセニーのトリオでの演奏。
もちろん彼らの演奏を完全コピーして弾こうとしていたわけではありませんし、弾けるわけもないですが、気持ちの中でなんとなく彼らの演奏を意識しながら弾いていました。
学生時代はビッグバンドで散々人前で演奏してきましたが、全く意識が違いました。ビッグバンドの時は多勢のうちのひとりでしたし、大体僕のギターなどちっとも聴こえませんでした。一方、今度は4人のうちのひとりで、しかも僕がリーダーです。
次回は何十年ぶりかにこの時の演奏を聴き、音源を紹介しながら書いてみようと思います。
