僕の音楽史(147)
年が変わってすぐに僕は人事異動で職種が変わり、システム関連のグループ会社に異動になりました。希望の部署だったので大変嬉しかったですし、何より良かったのは、システム障害等の特殊事情がない限りは基本は水日が休みで、異動後の数年間は見習期間みたいなもの残業や休日出勤等も比較的少なく、結構ギター学習を落ち着いてできる環境になったことでした。
布川さんのレッスンは相変わらず続けていました。以前書いたように「レッスン時に録音したDuoのカセットテープを毎日通勤時に聴き、家でフレーズ・コピーして、次回のレッスンのプレイで弾く」を繰り返しやっていました。数ヶ月間繰り返し行なっていただけで今まで十数年ひとりで練習して来たときよりもぐんぐん上達した気がしていました。
僕はもともとのプレイ・スタイルが布川さんと全く違っていました。もちろん音楽的なセンスや歌心なんかは布川さんに敵うわけはないのですが、僕は当時「パット・マルティーノのように太い弦をがっつりピックで力強く弾く」「8分音符、16分音符で淀みなくうねるように弾く」事をひたすら目指していましたが、布川さんはもっと「滑らかでレガート的、空間を生かして弾く」感じだったと思います。「インサイド、アウトサイド」でいうと僕は9:1でインサイド、布川さんは7:3くらいで程よいバランスのコンテポラリーな感じだったと思います。こんなにスタイルの違いがあったので、布川さんのフレーズをまんまコピーして弾いても、出てくる音は布川さんが弾いたニュアンスと全く違い、またそれが僕的には良かったと思っていました。
布川さんに習っていて大きなメリットは2つ、「毎回DUO演奏のためにスタンダード曲を覚えていった事」そして「イントロやエンディングのパターンや入り方、終わりに持って行き方」みたいな事を実際の布川さんの演奏を聴いて感覚的に体得していった事です。
今でも僕は「布川さんの弟子」と言うと、みんなに「えっ?」と言われることが多いのですが、それは既に僕がある程度できあがった状態でレッスンに通っていたからで、表面的に似たりすることではなく、もっと深いところで布川さんから学びました。
誰がなんと言おうと僕は「布川さんの弟子」だったと言えるのですw。
