僕の音楽史(144)
布川さんの自宅へ定期的に通い、レッスンしてもらうことにしました。
2回目のレッスンの事もよく覚えています。
布川さんは僕が「アウトのフレーズを教えて欲しい」という希望を汲んで、Dm7というコードを想定していろいろなアプローチを実際に弾きながら「これはXXXの進行を想定してXXXスケールを適用したフレーズ」みたいなことを何パターンも教えてくれました。布川さんが弾いたフレーズはどれもこれもかっこいいフレーズでしたが、布川さんが何を言っているのか正直言って全く理解できませんでした。
そもそもイオニアン(ドレミ・・・)とドリアンの2つのスケール以外は全く弾けませんでしたので、オルタードだのメロディックマイナーだの裏コードなど説明されてもまるでチンプンカンプンでした。
布川さんの説明が悪いわけでは決してなくて、僕の音楽知識や理論がまるでレベルが低かったのだと思います。
布川さんのレッスンを受け始めた当初、僕は例の「マイナー・コンバージョン」を発見したおかげでスタンダード進行でのアドリブ演奏はそこそこ弾けるようになっていました。布川さんはそんな僕の演奏を聴いて「武田君はある程度理論的な話をしても通じるだろう」と誤解したのだと思います。残念ながら理論的な裏付けは全く白紙でした。
布川さんに「何で理論のこと知らないのに弾けるの?」と聞かれました。その時、僕はマイナー・コンバージョンのことは話しませんでした。これは「僕が発見した機密事項」と考えていたからです。「世紀の大発見」をそう簡単にタネ明かしするわけにはいきません(笑)。
