ギター購入騒動記(67)
馴染みのSさんは接客中だったので、その間に他のショップを一回りするようにしました。下倉楽器だったと思いますが、この店にもL4がありました。値段を確認すると先ほどギタープラネットにあったL4と全く同じ値段でした。
「これなら買うときに困らないな。純粋に音だけでどっちの楽器にするか決めればいいな」なんて一瞬思いましたが、買えるお金などあるわけなんてありません(笑)。
30分ほど御茶ノ水駅近隣の楽器店を一回りして、先ほどのギタープラネットに戻ります。
馴染みのSさんの接客は終わっていましたので、挨拶を交わし、早速本題に入ります。
「前回Sさんがいらっしゃらなかったときに店長が接客してくれて、その時弾かせてもらったオービル・バイ・ギブソンの175がどうも気になってもう一度弾かせてもらいに来ました。でも....その前にそこのL4をまず弾かせてください!!」
ということで、人生初のL4を試奏しました。

「おや?この前買った775よりちょっとだけ軽いかな?」
持った感じはそう思いました。まずは生音で弾いてみます。
「ん?これ775より俺の持っている175に近いな!」
前回775を初めて試奏したときには「175と全く違う!」と思い、どっちが良い音!とかではなく、いたく感動して即買いしましたが、そこまでのインパクトがありませんでした。次はアンプに通して弾いてみます。
「あー、これこれ。ギブソンの音!」
とても良い音でしたが、でも、やっぱり775の時の感動が生まれて来ません。
確か90年代の楽器だったと思います。大きな傷など全くない比較的綺麗な楽器でしたが、なんか弾いてる感触もあまり良くありません。
この音や感触が残っている間に、問題のオービル・バイ・ギブソンの175を弾かせてもらうことにします。Sさんから楽器を受け取った瞬間に思いました。

「ネックを握った感覚がまるで違う。しっくり来る!」
生音、そしてアンプに通して弾いていきます。
正直に言います。音はギブソン系の音でしたが、生音も、アンプを通した音も、弾き心地も。手の感触も、何もかもこっちの方が上と思いました。
「これでL4の半分以下の値段!」
この時点で僕の中でL4は消えました。
ただ、誤解がないように言っておきます。このL4がイマイチの楽器ということではないのだと思います。同じギブソンで175を所有しており、最近775を買ってしまっていたので、このL4の音はある程度想定内の音であり、自分の心が反応しなかっただけなのだと思います。175、775を持っていなかったら多分全然違った反応だったと思います。
そして、もう一つ問題の「パット・マルティーノ・シグネイチャー・モデル」はどうしたかと言うと、試奏すらしませんでした。なぜかというと、自称「マルティーノ研究家」の僕が彼のシグネイチャー・モデルを持ってライブをやるというのは、あまりに「いかにも!」「カッコ悪い!」と考えたのです(笑)。この気持ち、わかりますよね?「ちあきなおみ本人の目の前でモノマネをするコロッケ」のような気持ちです(笑)。

一旦はオービルの楽器を置き、Sさんにこう言います。
「少し考えさせてもらえますか?後で連絡しますね。長い間取り置きするのは申し訳ないので予約はしないでおきます。」
一旦楽器を置いたのですが、いろいろSさんと話した後、帰る前にこの楽器の感触を忘れないためにもう一度長く弾かせてもらいました。
弾いているうちにこの楽器、絶対に手放したくないと思う気持ちが強くなりました。もともとがオービル・バイ・ギブソンの175なんか新品でも中古市場でも二度とお目にかかれないと思います。
そこでSさんの殺し文句が耳に飛び込んで来ます(笑)。
「この値段ではないですよ。武田さん特別価格でXXXXX円ですから.....。」
こうして、僕はダークサイドに落ちてしまいました(笑)。
「買います。これ、ホールドしておいてください!」