僕の音楽史(104)
前回パット・マルティーノのとの出会いについて書いたのですが、それじゃ、その後がっつりと彼にのめり込んだかと言うと実はそんなことはありませんでした。それはなぜかと言うと、「EXIT」以外の音源を聴く機会がなかったからです。
僕は当時、親からの生活費の仕送りをほぼ全てレコード購入に充てていて、枚数を買いたいがために中古レコードしか買いませんでした。その時にマルティーノのレコードが中古でたまたま出回っていなかったことが大きな理由です。その代わり「酒バラ」「アイ・リメンバー・クリフォード」の2曲は擦り切れるほど聴いていました。ギターマガジンに「酒バラ」のコピー譜が出ていたので練習してみましたが、やはりあのブレイクは当時の僕にはまだ早すぎました。
そんな時、下の写真のレコードが発売されることを知りました。新譜なのでもちろん中古レコードはありません。購入するかどうしようか迷いましたが、買わずにはいられません。


このVol1、2の2枚には本当に驚かされました。今までベンソンは「ブリージン」や「ウィークエンド・イン・LA」のような、いわゆるフュージョン系のフォーマットしか聴いたことがありませんでした。もちろん、バックのサウンドがどうであろうとベンソンは紛れもない「ジャズ」だったのですが、ジャズ・ギターの中ではある意味王道である「ギター・カルテット」で「スタンダード」、そして「ライブ」この3つの条件が揃った「直球勝負」のベンソンを聴いてみたいと思っていましたが、そのまんまのレコードが発売されました。
結果はどうだったかと言うと「直球」どころか「剛速球」でしたし、今現在のトレンドな表現で言うと「大坂なおみのサーブ」みたいな感じですか(笑)。
ブルースもスタンダードも、スローもミディアムもブッ早も、何もかも想像を絶するほど凄すぎました。ライブと言うこともあり、いつも以上に自由奔放で強力なグルーブ、これを言ったらおしまいなのですが「黒人」「血」を感じずには入られませんでした。
これをきっかけに、マルティーノではなくベンソンにはハマりまくって、今まで聴いてこなかった4ビート系ベンソンのレコードを買いまくって聴くようになりました。

