マイナー・コンバージョン・コンセプト(1)
「マイナー・コンバージョン・コンセプト」は現在も元気に活動を行なっているジャズ・ギタリストの巨匠「パット・マルティーノ」が90年代に発売した教則ビデオ「クリエイティブ・フォース」で一躍脚光を浴びた考え方ではありますが、彼が発見した突拍子も無いコンセプトでもなんでもなんでもなく、ウェス・モンゴメリーやジョージ・ベンソンほかジャズ・ギタリストたちのフレーズを研究していくと、パット以前に既にこの方法論でプレイしている様に感じられるものもあります。ただ、演奏者自らがこの考え方について語ったのはパットが初めてと思いますし、彼はある程度「理論」と言っても良いくらいまで体系立てて解説していました。
僕はパットのギターを大学時代に聴いてからずっと彼のファンでもあり、色々なアルバムに収録された楽曲をコピーしていく過程で「もしかしたら?」と思いながら彼のフレーズを研究・分析していました。そして、その後彼の教則ビデオ「クリエイティブ・フォース」を見て、「やっぱりそうだったか!」と驚愕しました。そして、このビデオを使って自分の考えを体系化することができましたし、一歩進んだコンセプトも学びました。
皆さんに力説したいことがあります。このコンセプトは難しいものでもなんでもありません。むしろ、譜面もろくすっぽ読めず、理論書も最初の数十ページで投げ出してしまった僕がパットのフレーズ・コピーをしながら自ら見つけたくらいの内容ですし、レベル感が多少違うのかもしれませんが、ウェスやパットのような音楽教育を受けておらず、一般的に譜面に弱いと言われている巨匠たちが取り入れている考え方であることから、むしろ理論的なことでつまづいているジャズ学習者、特にギタリストにもっとも有益な概念だと思うのです。
このコンセプトは学ぶことによって自らのプレイが飛躍的に伸びるものではありません。どちらかというと「ショートカット」と呼んだ方が良いのかもしれません。しかも思考回路が「単純明快」になる分、はまりやすい「落とし穴」とも言えます。そして、今すでにジャズ理論を理解し、プレイができる人にとっては学ぶ必要もないものとも言えます。
説明はなるべく色々な楽器の人でも対応できるようにしたいと考えていますが、部分的にはギタリストやベーシスト限定になってしまいます。何故かというと、僕が理論や譜面に詳しくなく、ギターの指板で視覚的に理解して部分が多いからです。また、大半はパットの書籍やビデオで彼自身が語っているコンセプトの内容になりますが、所々は僕の考え方も加えたものになるとは思います。また、「マイナー・コンバージョン」を理解の手助けとなる様な他の考え方も解説に取り入れていきたいと思います。
できるだけ間を空けずに解説して行こうとは思いますが、資料の準備等で時間がかかってしまう部分もありますので、あらかじめご了承ください。
どのくらいの期間の連載になるかはわかりませんが、ご興味のある方はお付き合いください。
次回から早速解説に移ろうと思います。
よろしくお願いいたします!
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