Pat Martino奏法研究(22)
【3-1】5つのポジション
今回からマイナー・コンバージョン・コンセプトをいったん離れて、パット・マルティーノのテクニカルな側面を解説していきたいと思います。
※マイナー・コンバージョンについては、今後発展形としての解説を予定しています。
この第3章ではAドリアンで解説を進めていきたいと思います。Aドリアンの音列はもう皆さん頭に入っているとは思いますが、念のため一番下に表しておきましたので、ご確認ください。

まず一番上の【Aドリアンスケールの指板上の展開】の図ですが、お分かりのように、縦の1~6の数字は弦番号、横の0~20はフレット番号(0は開放弦)、Aドリアンスケールの構成音のセルを赤くしてあります。
パットはこの指板上のドリアン構成音を【第1ポジション】~【第5ポジション】の5つのポジションに分割して考えています。そしてそれぞれのポジションの一番左のフレットから一番右にむけて、人差し指、中指、薬指、小指を割り当てて効率的にフィンガリングしています(第2、第4ポジションではポジション内で移動あり)。
パットの淀みないフレージングの秘訣は下の3つにあります。
1.【第1ポジション】から【第5ポジション】の機能的な連結(Horizontal Movement)
2.同一ポジション内での、キー・チェンジ(Vertical Movement)
3.1、2の複合(Vertical&Horizontal Movement)
個人的には、1のHorizontal Movement(水平の動き)が特に非常に重要で、一定の法則をもって連結されていきます。【第5ポジション】でのフレージングから始まり、4,3,2,1と順番に綺麗にフレーズを連結させ、下っていく様は、もう芸術の域です。そして、この機能的なポジション連結で、必然的に彼のフレーズを長尺なものにしています。この辺を、なんとかうまく解説できればと考えています。
今回はこのくらいに解説を留め、次回からは【第1ポジション】から順に詳細な解説をしていきたいと思います。
ご期待ください!
