僕の音楽史(92)
僕が大学一年の頃、世の中の電機メーカーはこぞってミニコンポ(ちょっと小ぶりなオーディオ・セットの事です。プレーヤー、チューナー、アンプ、カセットデッキ、スピーカーが一体になったもの)を発売し、テレビでCMを流すようになりました。そんな中で、どこの電機メーカーかは忘れましたが、凄くカッコよい曲がコマーシャルで使われていました。その曲が「ユニコーン」で、下の写真のアルバムに収録されている曲だとわかり、早速買ってきます。
【TOCHIKA】

渡辺香津美さんの「トチカ」です。
香津美さんは、1年ほど前に「リトナー」などフュージョンを聴き始めの頃「ギターワークショップ」や「マーメイド・ブールバード」を通じて耳にしていましたが、その後突き詰めて聴くことはありませんでした。
このアルバム、「ユニコーン」をきっかけに購入しましたが、何と言っても1曲目「リキッド・フィンガーズ」と最後の「マンハッタン・フル・ダンス」は、それはもう死ぬほど聴きましたね。今でもたまに思い出して聴くこともあります。香津美さんのギターはもちろんですが、「スティーブ・ジョーダン」のタイトで切れ味の良いドラミングや「マーカス・ミラー」の「チョッパー(スラップ)」のカッコよさはそれはもう格別でした。日本人がリーダーでこんなアルバムが作れる事にびっくりしてしまいました。このアルバムで、ニューヨークを中心に活動していた「マイケル・ブレッカー」「マーカス・ミラー」「スティーブ・ジョーダン」「ウォーレン・バンハート」「マイク・マエニエリ」等のミュージシャンをじっくりと聴く機会にもなり、その後どんどん音楽視野が広がるキッカケになりました。
そしてさかのぼって、彼のアルバムを次々に買います。
【KYLYN LIVE / KYLYN 】


「KYLYN LIVE」そして「KYLYN」の2枚ですね。噂には聞いていましたが、とにかくぶっ飛びました。「本場フュージョン」に比べ、「和製フュージョン」は荒削りな感じを受けましたが、それがまたカッコよく、そして日本人であることにある種の親近感を生み、一気に「和製フュージョン」にもはまっていきました。一曲目「インナー・ウィンド」そして矢野顕子ワールド「リバー・マスト・フロー」や「在広東少年」、そして名アレンジでもある「マイルス―ン」、そしてスタジオ版では粋な「199X」や「ソニック・ブーム」のカッコよいギターソロなど、どこを切り取っても素晴らしいサウンドです。
そしてこの後、下のアルバムと出会います。
【Monday Blues】

このアルバムでノックアウトでした。
はたちそこそこの若者でこのクオリティです。一発目の「マンデイ・ブルース」のテーマのカッコよさ、そして1コーラス目からパワー全開!落ち着きのない(笑)プレーが炸裂していきます。最後は「レイニー・デイ」のソロ・ギターで締めくくり、もう最高の「ジャズ・ギター・アルバム」でした。ここでの香津美さんのギターの音色、色々なギタリストをその後聴いてきた中でも5本指に入りますね。
必聴です!!