僕の音楽史(78)

ギター・ワークショップVol.2を早速自宅に帰って聴くことにします。4人のギタリストのうち全く聴いたことのない「秋山一将」さんの演奏している「レッド・バロン」に真っ先に針を落とします。
頭をトンカチでひっぱたかれた衝撃を受けました。理由ははっきりとはわかりません。でも次の3つのことかな?と後で振り返ってみると感じます。
ひとつめは秋山さんのギターに強力な「ブルース」や「ソウル」を感じました。
もうひとつは秋山さんのギターで初めて「アウトの気持ちよさ」を実感しました。
みっつめは「ジャズ」を感じました。
「ブルース」「ソウル」、そもそもこの言葉の定義など明確にわかっていたわけでもないですし、本場の「ブルース」など聴いたことはないわけですから何故こんな気持ちを持ったのかはわかりません。でも、昔、クリエイションの竹田和夫さんを聴いた時に感じた同じ思いを秋山さんのギターに感じました。
レッドバロンのギター・ソロの最初の方でいわゆる「アウト・フレーズ」を弾きます。もちろん当時は「アウト」なんて感覚もありませんでした。初めて聴いた時は「あれ?、間違ったのかな!?」と思ったりしましたが、それにしてはかっこよすぎますし、グッときます。後に理論書で「アウト」っていう言葉の意味や概念を知るのですが、意識して聴いたのは秋山さんのレッド・バロンの演奏が初めてでした。
みっつめは「ジャズ」、そして「黒っぽいシャズ・フィーリング」を感じました。今まで聴いた日本人ギタリストでは「渡辺香津美」さんにももちろん「ジャス」を感じていましたし、カシオペアの「野呂一生」さんのも同じ思いも持っていました。「リトナー」にも同様でした。でも、彼らはすごく「都会」って感じがしました。もちろんそれも嫌いではなかったのですが、秋山さんにはなんか彼らにはない「土臭さ」を感じ、その虜になってしまいました。
今まで、何から、どうやってジャズ・ギターを勉強したら良いかがわかりませんでしたが、とりあえず照準が定まりました。
「秋山さんを徹底的に研究してみよう」
まずは発売済みのファースト・アルバムの「ディグ・マイ・スタイル」を買いました。想像以上に素晴らしいギターアルバムでした。そんななかでも1曲目「アイ・ビリーブ・イン・ユー」を聴き、それはもう涙が出るほど感動しました。

「彼の様に弾けるようになりたい!」と思い、まずはフレーズ・コピーを本格的に始めることにしました。ジャズ、フュージョン・ギタリストで本格的にコピーを始めたのは秋山さんが初めてです。
ただ、コピーしながら考えました。
「ロックと違いジャズやフュージョンのギター・ソロはいくらフレーズをコピーしても、曲のコード進行がわからないと他の曲にフレーズの応用が効かないな」
これがロック・ギターを独学している時との大きな違いで、挫折しかかっている理由でした。
ロックは基本ギターソロは7thコード一発のペンタトニックがほとんどで、コード進行など気にせずにコピーしたフレーズがどんどん自分のストックとなって違う楽曲に応用することができました。意識するのは「キーが何か?」だけでした。それに比べ、ジャズはコード進行が複雑で、それがわかっていないと、コピーしても他の曲にフレーズを応用することができません。
ライトの1年上の先輩でレギュラー・ベーシストであるタダシさんに、練習の時にそんな事をそれとなく話をすると返答が返ってきます。
「寺(テラ)さんに聴かせて譜面書いてもらえばいいじゃん?絶対音感あるから。」
「えっ?絶対音感?何それ?」
つづく・・・・・・。