Pat Martino奏法研究(64)
前回の続きで、今度はもう少し長いフレーズで解説します。
下の譜面を見てください。前回同様に手書きの曲線は「音の強弱」や「感情移入の度合い」を表す曲線とお考え下さい。

まずはどんなフレーズか弾いてみますね。下の動画です。
分割して弾いて説明します。まずは1小節4拍目から2小節め3拍めの最初の16分音符G音までです。
1小節目の3つ16分音符は2小節目からのフレーズの前振りのようなフレーズです。したがって、音量も小さく、一音一音はっきり弾くのではなく、ゴーストノートになってしまうくらいな感じで始めます。2小節目からいよいよ始まります。出だしのB音はアタック強めに弾きます。フレーズ全体の粒立ちをよくして、ダレた感じにならない効果があります。B音をアタック強く弾いた後のA♭音はこのフレーズの中で一番小さな音です。次のAナチュラルの音の経過音でもありますから、ほとんどゴーストノートです。そして、この音からフレーズの音程が上昇とともに音量もなだらかに上がっていき、一旦G音で一回目のピークを迎えます。下の動画を参考にしてみてください。
G音でピークに達した音も次のB音で急降下、リセットで新たな坂を上っていきます。下の動画を参考に。
この2回の山登り、これがかれのノリ、グルーブを生み出す秘密のひとつ目です。一回目の上りは「落ち着いた」気持ちで、そして山頂を目の前に崖から落とされた状態での2回目の挑戦、これは「ちくしょー!上ってみせる!」といった感じです。うまく説明できないですし、まだまだ自分でも弾けていると思っていませんが・・・・。ただ、「ちくしょー!」とはいっても、速度が速くなってはいけません。あくまで「感情移入」や「気持ちの込め方」の事をいってます。そして3小節目のこのフレーズの山頂であるB音(C音はハンマリングによる装飾なので、ここではB音が頂上と言ってます)を頂点として、音程が下がると同時になだらかな下降曲線をたどっていきます。下の動画を参考にしてみてください。また、3小節目のの3拍めの16分音符C-E-B-DのE音は多少アクセントをつけます。音の高低差とCは3弦5フレット、E音は2弦5フレットで異弦同フレットことも理由ですが、歯切れよく聴かせるためです。
最後に、適当にそれっぽいフレーズを弾いてみますので、全体感の参考にしてください。
まー、「言うは易し行うは難し」ってことで聴いていただければ(笑)。
ではでは!