Pat Martino奏法研究(63)
マルティーノの「グルーブの秘密」と言っても特別なことをやっているわけではないですし、ジャズというか音楽全般に当てはまることと思います。ただそんな中でも際立った部分について少し大げさに動画を使って説明します。ノリに関しては身につくまでは少し大げさなくらい強調して練習では弾いた方が良いと思いますし、その方が説明しやすいので。
まず下の譜面を例にとって解説します。

何も考えず平坦に弾いたのが、下の動画です。
別にこれでも全然悪くはありません。
上の譜面に戻ってください。この譜面の特徴は音程が「上がって、下がって」です。パットのフレーズはこのような8分音符が切れ目なく続き、この「上がって下がって」の繰り返しがとても多いです。これをどう弾くかって言うと、下の鉛筆書きの矢印です。
この矢印は音の強弱、あるいは気持ち(パッション?)の込め方、感情移入・・・などを表す曲線です。①②で▼は音のアタックの強い部分を表します。
まず出だしのA音は強く弾きます。次のB音は全体からすると一番小さい音です。ゴーストノートと言っても良いくらいです。そしてB→D→Fと音程が高くなるにつれて、音量を上げていき(感情移入し)A音で最高潮に達します。アタックを強く弾きます。その後、急激に減衰します。
多少の例外もありますが、パットのノリはこの「山・谷」「上がって下がって」をこんな感じで弾き続けることによって、強力なグルーブが生まれてくると感じます。
これは特別なことではないと思います。音程低いところから上に向かうときには普通は自然と力が入って上のような感じで弾きますよね。特に弦楽器の人はそうじゃないかと思います。誰だってそうと思いますが、これが延々繰り返されていくことによって全体の流れ(あ、The Great Streamってやつだ!)グルーブが生まれてくるのです。
あえて意識して弾いたのが下の動画。アクセントや強弱がわかりやすいように譜面よりオクターブ下げて、少し大げさに弾いてます。一瞬芸のように短いですからお見逃しなく。
次回はもう少し長いフレーズで解説します。