僕の音楽史(68)
僕が慶應義塾大学に合格したことを聞いたジャズ好きのおじさんが、お祝いがてら家に遊びに来ました。
「謙治、おめでとう!大学では当然音楽やるんだろう?!」
「もちろん」
「このサークルに入れ!」
「ん?」
見せてくれたのはコンサートのチラシでした。
「慶應ライトミュージックソサェティ?何んだそれ?慶應の学生アマチュアバンド?」
「夏に演奏旅行で新潟に来ていたからたまたま観に行ったんだが、とにかく凄かった!学生でこんなうまいバンドは今まで聴いたこともない!!絶対に入った方が良い!」
あまりしつこく言うのでチラシを見てみると、バンドとは言っても20人近くもいます。
「何これ、歌謡曲なんかのバックで演奏している楽団みたいなやつじゃん。」
全く興味はありませんでしたので、そこで話は終わりです。
僕はこの時、昨年発売された竹内まりやのセカンド・アルバム「ユニバーシティ・ストリート」をよく聴いていて、ライナー・ノーツを読み、彼女が参加していた音楽サークル「リアルマッコイズ」に入部しようか?なんて考えていました。


この時のライト・ミュージック・ソサイエティのドラマーは、なんとその後カシオペアに参加することになり、日本、いや世界のクロスオーバー・ファンを驚愕させることとなる神保彰さんが叩いていたことなど知るわけもありませんし、そればかりか、自分がこのバンドに入部し、大学4年間活動することになることなど想像できるわけはありません。

