僕の音楽史(66)
昨年すでに発売されていた竹内まりやのファースト・アルバムを買いました。下の写真「ビギニング」です。この時がロックやクロスオーバー以外のレコードを買った初めての経験だったかもしれません。

竹内まりやを知るきっかけとなった「レモンライムの青い風~ドリーム・オブ・ユー」は収録されていませんでしたが、当時日本で人気のあったミュージシャン達(山下達郎、加藤和彦、大貫妙子など)が楽曲を提供しただけあって、どれもいい曲ばかりでした。なんとあのリトナーも数曲に参加していました。そんな中でもアルバム最後の「すてきなヒットソング」という曲が僕のハートをがっつりと掴んでしまいました。この曲は彼女の作詞作曲であり、歌詞は彼女自身の体験を素直に表現した曲ということでもあり、もう自分がギター弾きであることもどこかに飛んで行ってしまい、毎日レコードをかけ、口ずさんでいました。
僕は音楽を聴いた時に「詩」というものが頭に飛び込んでくることはまずありません。メロディやフレーズやサウンドばかりで、詩が心に残ることは悲しいことにあまりないのです。でも、この曲は違いました。メッセージが心の中に飛び込んできて離れていきませんでした。この曲や他の曲もいくつかはYoutubeで聴くことができるので、ぜひ聴いてみてください!今聴いても、もう涙があふれてきます。デビュー当時の竹内まりやはまだあどけなさが残っていましたが、カーペンターズのカレンを思わせる伸びのある歌声は最高です。
今までは、音楽は勉強を邪魔するもので、受験勉強に今一つ身が入らない一番の原因でした。ところが「竹内まりや」の場合は違いました。前回の記事に書いた通り、彼女の在籍校であった「慶応義塾大学」を彼女の歌をきっかけに第一志望と決めたわけですから、彼女の曲を聴けば聴くほど受験勉強のモチベーションは上がりました。
この時点で受験まであと3か月、絶対合格してみせる!という気持ちは日に日に強くなりました。正直、模擬試験での判定では慶応の文系学部はどれもD判定でした。偏差値はどの学部も10~20近く上げなくてはいけません。
まっとうなやり方では到底無理でした。そこで、一大決心をしました。
まず、ギターの弦を全部切りました。さすがにレコードを聴くことはやめることはできませんでしたが、なるべく竹内まりやを聴いて常に慶応義塾大学を思い出すようにしました。学校も、世界史、英語、数学以外の授業は全て欠席することにして、図書館か家で勉強することに決めました。一応今までの出席回数を調べて、全部休んでも留年にはならないよう確認しました。家にいる時は、食事以外は自分の部屋から一歩も出ず、ひたすら英語ばかりやってました。数学は得意でしたし、世界史は小論文なので細かい暗記は不要、したがって英語さえできればなんとかなると思っていました。

「竹内まりや」さんは、ギタリストである僕にとっては音楽的に大きな影響を与えてくれたわけではありませんでしたが、僕の人生には誰よりも影響を与えてくれた音楽家だったかもしれません。
感謝しています!