Pat Martino 奏法研究(16)
Cのキーでのドミナントモーション Ⅴ7→I の動きでのⅤ7をどう考えるかです。
まず、本題に入る前に、前々回の講座【2-1】での解説に照らし合わせて考えると、D7⇒Am7ならG7⇒Dm7ですよね。これもOKです。でも、弾いてみてください。なんか、面白くないって言うか、よく言う「ジャズっぽく」ないですよね?何故でしょうか?Dm7にコンバージョンするってことは、Dドリアンスケールで弾くということですよね。何のことはない、ドレミファソラシドをレから始めてるだけのスケールです。要は、Cのキーでドレミファソラシドを使って弾くのでは、「ジャズっぽく」なるわけありません。誤解してはいけませんよ、ドレミファソラシドがダメっと言ってるわけではありません。これでは「センスが問われる」という理解がよろしいかと思います。
下の図1はG7(♭9♭13)のコード、図2はA♭m6コード(〇を押さえるとA♭m7です)。G7(♭9♭13)を弾いてみてください。良い響きでしょう?「ジャズっぽい」感じがプンプンしますよね。そして、A♭mのところですが、今回は、A♭m6で説明します。A♭m6はA♭m7より少しダークな響きですが、友達同士です。さあ、指板の図を比べてください!なんと、違いは一か所赤丸のG音がA♭音になっているだけで、他はみんな一緒です。したがって、G7→CのG7はA♭m6(7)にコンバージョンできて、A♭ドリアンスケールでアドリブできることになります。
A♭ドリアンスケールとGオルタードスケールを下に載せておきます。比べてみてください。ドリアンスケール丸印G♭がオルタードではG音になっているだけで、違いがないでしょう。したがって、A♭ドリアンスケールを弾くときに、G♭音を使わないか、注意して使うか、ここだけG音に置き換えて使えばのいずれかで良いわけです。



【補足1】
僕は、ロックギターから入って、フュージョン経由でジャズの世界に入りました。「ジャズは理論を知らないと...」とサークルの先輩達は言うので、理論書を買って勉強しました。V7のところで、テンションやらオルタードスケールやらHMp5th↓が出てきて、全くわからず、耳なじみのないスケールを練習しても、指は覚えてくれず、全く弾けるようにならず、ジャズを諦めかけました。ただ、いわゆる「一発もの」の曲はコードチェンジがないので、わかりやすく、フレーズのストックを増やすためたくさんコピーしていました。ほとんどがドリアンスケールを使っていたので、このスケールのフレーズだけはたくさん弾けました。
パットマルティーノをコピーしていて、ある時、気が付きました。「あれ?この曲のG7の時に弾いてるフレーズ、この前コピーしたA♭m7のフレーズと一緒だ!!」そして、妙にはまっていて、「ジャズっぽい」のです。最初は何でか全く理解できなかったのですが、上のG7(♭9♭13)のコードを覚えたときに、合点がいきました。のちに、マルティーノの教則ビデオCreative Forceを見て、彼自身が全く同じ解説をしていたのを見て、驚喜したことは今でも忘れません。
【補足2】
オルタードで挫折しかかっていた自分は、これを発見したとたん、急にジャズが弾けるようになりました。G7をオルタードなんか弾かず、ドリアンで弾けばよいのですから。僕は【補足1】に書いたように、ドリアンスケールを使ったフレーズばかり死ぬほどコピーしていましたので、それをあてはめていけば良いのですからね。したがって、僕の頭の中に「オルタード」という概念はまったくありません。どの理論書も「オルタード」で話ばかりで、僕には何のことやらわかりません。
【補足3】
後になってから、次のように考えればよいのかな?とも思いました。
G7の裏コードはD♭7⇒A♭m7
今回はマイナーコンバージョンの一番大事なところの一つです。これを習得しないと、マイナーコンバージョンをやっている意味がありません。したがって、読んでみてわからない方は、質問を受け付けます!!
お気軽にどうぞ!