僕の音楽史(45)
「キング・クリムゾン / USAライブ」で驚愕し、「太陽と戦慄パートⅡ」がお気に入りの1曲となったことで、「~パートⅠ」がどうしても聴きたくなったので、アルバム「太陽と戦慄」を購入のため間髪入れずレコードショップに向かうことにしました。

購入後、早速ターンテーブルにレコードを乗せ、問題の「太陽と戦慄パートⅠ」から早速針を落とします。
パーカッションとバイオリンのサウンドがかすかに聴こえて、それが段々と盛り上がってきました。「ジョーズ」もしくは「ゴジラ」の登場する前の期待感、そんな感じです。そして、そのサウンドがピークに達した頃、全員ユニゾンのハードなリフが大音量で耳に飛び込んできます。
「かっこいい!!」
これだけで、もうノックアウトでした。「この先どう展開するんだろう??」と思ったたその瞬間、全員でのリフはピタッと止まり、ロバートのブレイク・ソロが始まります。
このブレイク数秒間でのロバートのリフ、これを聴いただけでもこのレコードを買った意味がありました。
「凄すぎる!一体どうやったらこんなフレーズが浮かんでくるのか?」
当時はジャズは全く聴いていませんでしたので、僕の頭の中には、ブルース・ペンタトニックを中心としたフレーズ以外は理解の範疇を超えていました。いわゆる「不協和音」は僕の頭の中には鳴っていませんでした。理解できるサウンドの限界値はせいぜいジェフ・ベックの「ワイアード」「ブロウ・バイ・ブロウ」くらいまででした。ロバート・フィリップのギターは、今までのギタリストの誰とも違っていて音楽的に全く理解ができませんでしたし、頭に鳴っていないサウンドなので、聴いてもコピーができませんし、コピーできてもうまく弾けませんでした。僕にはまだ難しすぎるギタリストでした。
アルバム全体を通して聴いて、統一感のある素晴らしいアルバムと思いました。イエスの「こわれもの」を聴いた時の感じに似ていたように記憶しています。
実はその後クリムゾンの色々なアルバムを買ってのめりこんだのかといえば、「USAライブ」と「太陽と戦慄」の2枚で僕の中では終わってしまいました。「ロバート・フィリップ、ジョン・ウェットン、ビル・ブラフォード」の3人が揃っていない時期の演奏をどうしても聴く気になれないのです。
それだけこの3人のサウンドが圧倒的に素晴らしいものでした。