僕の音楽史(44)
友人の新保君が下の写真のアルバムを買いました。キング・クリムゾンの「USAライブ」です。

彼はあまりピンと来ていないようでした。彼からアルバムを借りてじっくり聴くことにしました。
「キング・クリムゾン」、もちろん名前は知っていました。例の「クリムゾン・キングの宮殿」というアルバムは有名でしたし(アルバムを聴いてはいませんでしたが)、EL&Pのグレッグ・レイクが在籍していたバンド、そして何よりも、大好きだったイエスのドラマーである「ビル・ブラフォード」が「イエス」を辞め、「キング・クリムゾン」を選んだという事で、ちょっと気にくわない(笑)バンドでした。ロバート・フィリップというギタリスト、僕の持っていたロック・ギタリスト名鑑には「メロトロンのプレイが冴え渡る天才ギタリスト」と書いてありました。「ギタリストなのにメロトロン、なんのこっちゃ?」と思いました。そんな事もあってか、この時点で全く演奏を聴いたことがありませんでした。
針を落とします。
頭を鉄球で殴られた感じの衝撃でした。こんな凄いバンドを今まで知らずにいたことに恥ずかしさを覚えました。ロバート・フィリップのギター・プレイは過去に全く聴いたことのないタイプでした。今まではどちらかというとブルースに根ざしたいわゆるロック・ギタリストを中心に聴き続けていたのですが、そのどれとも違う強力なオリジナリティでした。当時は全く解読不可能でした。そして、ジョン・ウェットンのワイルドなボーカルとベースプレイ、そして弾むようなブラフォードのドラミング。素晴らしい組み合わせでした。
ジョン・ウェットンはキング・クリムゾンを脱退したあとに、ユーライア・ヒープに加入して2枚のアルバムを発表しましたが、すぐに脱退しています。理由はよくわかりました。世界観がヒープとまるで違います。しかも、事故死した「ゲイリー・セイン」という天才的なベーシストの後任です。そして、「7色の声を持つ男」と言われたデビッド・バイロンも在籍していました。これじゃ、おもしろくないでしょう。
ひとつわからないことがありました。なぜ、ブラフォードがイエスを脱退し、クリムゾンに参加したかってことでした。クリムゾンでやっていること、イエスでも十分実現できたのではと思ったからです。クリムゾンにはロバート、イエスにはアンダーソンという「ドン」が統制していたわけで、どちらも自分の好き勝手やれたわけではないだろうに・・・・。
今はこう考えてます。彼はインプロ重視のよりジャズ発想なプレイがしたかったのだろうと。「イエスソングス」で彼のドラミングが聴ける曲が2曲あります。「パーペチュアルチェンジ」と「ロング・ディスタンス」、いずれもスタジオテイクのアレンジでの演奏の後、アンダーソンを除く4人のプレイヤーで大インプロビゼーション大会が繰り広げられます。これをメインにやりたかったのではないかなと思っています。その後のアラン・ホールズワースや渡辺香津美さんとの活動もそれを物語っているのではと思っています。
特に気に入った曲は「太陽と戦慄パートⅡ」「イージー・マネー」「21世紀の精神異常者」の3曲でした。「ん?パートⅡ?ってことはパートⅠがあるってこと?」調べたら、ありました、ありました。「太陽と戦慄」というアルバムが数年前に発売されてます。
さっそく、買いに出かけます。
続きは次号・・・。
