僕の音楽史(43)
大好きだったイエスを聴かない日々が結構長く続きました。ツェッペリンやジェフ・ベック、クリエイションなどのハード・ロック等に趣向が偏ってきたことも理由のひとつでしたが、リレイヤー(74年作品)以来彼らの新譜の発売がなかったことが一番の大きな理由でした。
このブログでも以前紹介しましたが、前作「リレイヤー」は結構気に入っていました。リック・ウェイクマンのいないサウンドを凄く心配していましたが、パトリック・モラーツのプレイはそんな心配を吹き飛ばす素晴らしいプレイでした。オーケストレイションという観点では、リック・ウェイクマンに軍配が上がりますが、キーボード・ソロでのフレーズはカッコよく、変にクラッシック色がないところがイカしていましたので、何の不満も個人的にはありませんでした。
雑誌で、そんなパトリック・モラーツが脱退し、リック・ウェイクマンが復帰、アルバムを制作中とのニュースは既に知っていました。そして約3年ぶりの待望の新作が発売されました。「究極(ゴーイング・フォー・ザ・ワン)」です。

僕はこのアルバムは買いませんせんでした。何故か記憶にありませんが「お小遣いがない」、そんな程度の理由だと思います。例によって友人新保君が買っていたので、借りて聴きました。
まず、ジャケットが今までと趣が違うのが驚きでした。今までは、ロジャーディーンの描く幻想的な絵画がジャケットでした。「新たな出発」を意識してなのでしょうか?そしてサウンドは???一曲目から針を落とすと・・・・
いきなりスティーブ・ハウのハードなペダル・スティール・ギターが、耳に飛び込んできます。そして、相変わらずのハイ・トーンなアンダーソンのボーカルです。力強いサウンドです。でも、その後曲が進んでいきますが、なんかピンとくるものが最後までありませんでした。
イエスにはやはり「危機」や「錯乱の扉」のような20分を超える大作を期待していましたし、「ラウンドアバウト」や「燃える朝焼け」のような一つのモチーフをどんどん発展させるマニアックな曲が大好きでした。そんな作風は影を潜め、随分とストレートな印象でした。「なるほど!」確かにこのサウンドにはロジャー・ディーンの絵画ジャケットは合いませんね。
個人的な感想では、随分と中途半端で、なんか煮え切らないサウンドに思えました。こういうサウンドは、別に「イエス」がやらなくても良いのではとも感じました。
結局、「ザ・イエス・アルバム」「こわれもの」「危機」「イエスソングズ」を超えるものではもうないのか?というのがこのアルバムを聴き終わったときに感じた正直な感想です。
次は、今までこのブログに一度も登場していないバンド、アルバムを紹介することになります。