僕の音楽史(30)
この年、僕の記憶では特にロックに関する大きなイベントや特記事項、事件などはなかったように思います。ずっと習ってきたクラシック・ギターはもう既にやめていましたし、エレキの方も高校受験ということもあり、手にする時間も少なくなっていました。
そんな中で衝撃的なニュースが飛び込んできました。
僕が本格的に好きななった最初のロックバンドであるユーライア・ヒープのベーシスト、「ゲイリー・セイン」が27歳という若さでこの世を去りました。感電事故で入院し、そこで覚えたドラッグに溺れたのが原因と報道されていました。


知名度はそんなに高くはないのかもしれませんが、知る人ぞ知る素晴らしいベーシストでした。ユーライア・ヒープの黄金期メンバー、デビッド・バイロン、ミック・ボックス、ケン・ヘンズレー、リー・カースレイク、皆好きでしたが、そんな中でも、ゲイリー・セインは一番好きでした。美しくメロディアスなベース・プレイ、こんな人はこの当時のロック界ではどこを見渡してもいませんでした。ユーライア・ヒープ黄金期を支えた、と言うか、彼らには勿体なくらいの素晴らしいベーシストでした(笑)。ライブ盤で彼がグループに参加する前の演奏曲も収録されていますが、彼がベースを弾くことでドラマチックな雰囲気に変わり、新たな魅力を引き出しています。また、ロックン・ロール・メドレーでのベースラインが死ぬほど良いですね。ルックスも演奏する姿もかっこよく、特に直角に曲げた右手首と左右の長い指での運指が綺麗で芸術の域です。
ギターとオルガンでの重厚なコード・サウンド、ロックの場合は、基本Ⅰ度とⅤ度のパーワー・コードでテンション感が希薄なので、とかく単調になりがちですが、そんな中、ゲイリーのメロディアスなベースが裏で聴こえてくると、凄くドラマチックなサウンドになります。確かニュージーランド出身で、ジャズ系のビッグ・バンドのベーシストの経歴もある事も影響しているのでしょう。
僕はこの当時まだジャズは聴いてはいませんでしたので、「ジャコ・パストリアス」の存在などは知りませんが、「イノベーション」と言う意味では比較にはなりませんが、彼に匹敵するくらいの偉大なベース・プレイヤーと思います。27歳で亡くなってしまうなど残念でなりませんでした。Zepの「幻惑されて」を彼の演奏で一度聴いてみたい!まー、叶わぬ願いですが・・・・。
1976年当時聴いていたロックのアルバム紹介をするつもりが、記憶を辿っていくと「ゲイリー・セイン」の事を思い出してしまい、皆さんにどうしても紹介したくて予定変更して書きました。