僕の音楽史(25)
文化祭がちょうど終わった頃に
「謙治、これ聴いてみろ!凄いぞ!」っと叔父さんがテープを持ってきます。
テープの中身は何かというと、数か月前の夏休み中に東京の後楽園球場で行われた「ワールド・ロック・フェスティバル」の生録のテープでした!何故そんなテープがあるかというと、以前からお話ししている叔父さんが参加しているクリエイション・コピー・バンドのギタリストが観に行って、カセットデンスケで生録してきたのでした!
「ワールド・ロック・フェスティバル」の事について知らない人も多いと思いますので、簡単に説明しておくと、あの内田裕也さんが主催した「世界と対等に渡り合えるまでに成長した日本のバンドを世の中に知らしめることを目的に開催した日本と海外の有名ロック・ミュージシャンの競演」ともいうべきものでした 。
もちろん開催されることは知っていましたし、観に行きたい気持ちも強かったですが、今回は、以前のユーライア・ヒープ来日の時と違って、親を説得するといったそこまでの気持ちを何故か起きませんでした。
出演バンドは当時の僕にとっては、それこそオールスター・メンバーでした。日本からは「クリエイション」「四人囃子」「カルメンマキ&OZ」、そしてマウンテンの「フェリックス・パッパラルディ」そしてなんといっても伝説のアルバム「Blow By Blow」を発売したばかりの「ジェフ・ベック」でした。
僕が貰ったテープの中には、「ジェフ・ベック」「クリエイション」そして最後の選抜メンバーでのセッションが録音されていました。残念ながら、四人囃子やOZの演奏は収録されていませんでした。
テープを聴いて、何と言っても凄かったのは、やはりジェフ・ベックでした。ブロウ・バイ・ブロウの曲を中心に約50分の演奏、前日からインフルエンザ(?)で40度の高熱の状態であったため、本来は格付け的にはトリを演じるところが、急遽2番手で登場、演奏後彼は救急車で運ばれています。そんな状態での演奏とは全く思えないくらい凄まじい演奏でした。僕はこのコンサート時点では、まだ「ブロウ・バイ・ブロウ」を聴いてはいませんでしたので、もしライブを観ても、このテープを聴いたときほどに良さが分からなかったと思うので、かえって良かったのかもしれません。
オールスター・メンバーであのマウンテンの名曲「ナンタケット・スレイライド」のクリエイションの竹田和夫さんのプレイもとても素晴らしいものでした。
この時のテープ、ジェフ・ベックの演奏のみ今だにカセットテープで所有しています。ほかのものは何故か行方不明です。ただ、色々ネットで調べてみると、ブートレッグ盤やYoutube等で聴くことができるようですね。
今振り返るとこの1975年が日本のロックバンドがひとつのピークを迎えている時期だったように思います。




