Pat Martino 奏法研究(8)

(7-a)です。まず1小節ですが、これは彼の指くせです。まんま指に覚え込ませてください。1弦7フレットB音人指し指からスタートです。2小節目3~4拍目は、すでにご紹介した例の「音を飲む」ってやつです。「タタタタ」ではなく「タクタク」て感じに弾いてくださいね。
(7-b)です。1小節目、これも最初にご紹介した「これぞマルティーノ!」の、もうおなじみの音列です。このフレーズというか音列が、たとえ泥酔状態でもジャムセッションで弾けるようでなければ、まだまだ練習が足りないと思ってください(笑)。2小節目、これも彼の指くせです。ていうか、ジャズ特有の歌いまわしです。「音を飲む」のと一緒で、こういう特有の歌いまわしのストックを増やすと、アドリブがジャズっぽくなってきます。ジャズ特有なだけに、初心者の方は、慣れるまで少し難しいかもしれません。1小節目最初のB音を3弦4フレット人指し指でスタートし、1小節最後の音G音を2弦8フレット小指で弾いた後、すかさず左手を上に向かってポジション移動し、2小節目最初の音B音を1弦7フレット人差し指で弾きます。4小節目、また例の「音を飲む」ってやつが出てきます。
(7-c)です。1小節目、これも彼の得意な指くせです。まんま覚えましょう!ちょっと、聴き慣れない、玄人好みのフレーズです。3弦9フレット人差し指からスタートです。2小節目でまた「音を飲む」が出てきます。
今回の重要なポイントです。
経過音以外にほとんどスケール音そのまんまの音です。これでは、ジャズ初心者のソロと一緒ですよね。何が違うのでしょう?
彼のソロは、数小節が「スケール音でそのまま上がって、次は一定の規則性の音列のフレーズを弾き、最後はスケール音で下がっていこう!でも、ちよっと音飲んでみるか・・・よし、また上がるぞ!(続く・・・)」のように、毎回同じではないのですが、ひとつの「かたまり」になっています。そして、このフレーズ例で紹介しているようにひとつのかたまりそのものが起承転結になっています。そして彼のソロは、もちろん全てではないのですが、この起承転結のあるかたまり「フレーズユニット(僕が勝手に命名しているだけです。彼はそんなこと一言も言ってません)」がソロの間中にずっと繰り返され、起承転結-起承転結ー起承転結・・・・になっていることが多いです。これが、彼のソロの「緊張感の持続」と「大きなうねり」の理由になっています。
僕はこの奏法を「金太郎飴奏法」と名付けました。何で金太郎飴かというと、「ソロのどこかの数小節を切り取ってみても、起承転結のひとつのフレーズユニットになっていて、(パットに興味のない人からすると特に)代わり映えしない(=いつも同じ)」。要は、どこを切り落としてもいつも金太郎の顔が出てくるあの下町名物「金太郎飴」みたいだということです。断じて批判しているわけではありませんので、誤解されぬようお願いします。彼はこのフレーズユニットのストックが膨大であり、その並び順は無限大ですから、何の問題もありません。
マルティーノさん、「金太郎飴」なんて言ったら、怒るだろうな?!