Pat Martino奏法研究(43)
今回から、前回提示した譜面を何回かに渡って総合的に解説していきたいと思います。単純にこのフレーズが弾けるようになるというのではなく、色々なパット特有の考え方や癖なども併せてできるだけ解説していくようにします。
まず、いきなり下の音を確認しながら弾いてみるのではなく、この譜面をじっと眺めてみてください。何か気が付きませんか?「16分音符の連続」ってのもそうなのですが、ここで着目してほしいのは音符が形作る「山」です。
山の形状を見てみますよ。1小節目「上がって下がって」で「山が1つ」、2小節目も同様に「上がって下がって」でまた「山が一つ」、そして、さっきの山よりほんのちょっとだけ高い山です。そして3小節目で「ぐっと上がって行き、一番高い山」を作り、4小節目は「ぐっと下って」元の位置に戻ります(正確には、少し上がってから戻ります)。
パットのノリ、太い弦をアタックを強く弾くことによるものと語られますが、もちろんそれも大きな要素のひとつなのですが、もう一つの要素としてこの「音符の山」が挙げられます。「小さい波<小さい波<大きな波」、あしたのジョー的に言うと、「ジャブ⇒ジャブ⇒ストレート」なのです。そして、以前の解説の中で、「フレーズのかたまり(ユニット)」という言葉を使いましたが、彼はこのような4小節位のフレーズユニットの「小さい波<小さい波<大きな波」が、それこそ波状攻撃のように続き、その後「永久不滅の繰り返し」、いったい何小節(コーラス)やれば気が済むのか?状態に入っていきます。これにより、ソロ全体に渡って「長い大きなグルーブ(うねり・流れ)」を生むのです。まさに彼の代表曲「The Great Stream」なのです。
今回は、こんな感じで終わりです。次回は、このフレーズ上のマイナー・コンバージョンについて解説します。
ではでは。
