僕の音楽史(12)
「成毛滋のロック・ギター・メソッド」で成毛さんがあまりに「ツェッペリン」「ジミー・ペイジ」と連呼するし、例題曲で「胸いっぱいの愛を」「移民の歌」など、ギターのリフがかっこいいので、やはり聴くしかないだろうと思いました。当時購読していた「ミュージックライフ」という雑誌にも毎回のように記事で取り上げられていたし、ルックスもカッコよく、伝説の来日公演の話を耳にはしていましたが、なぜが聴く機会がありませんでした。兄の部屋にポスターが貼ってあり、今思うと、兄は僕より先に「天国への階段」や「ブラック・ドック」を聴いたりしていたようでしたが、僕は何故かあまり一緒になって聴いた記憶がありません。

レコード店に行って、「胸いっぱいの愛を」が入っているセカンドを買うか、「移民の歌」の入っているサードにするか購入時迷いました。迷った末にサード・アルバムの方を選びました。

自宅に帰って、まずはA面1曲目「移民の歌」から針を落としました。例のF#オクターブのリフが耳に飛び込んできました。「かっこいい!成毛さんより全然すげー(成毛さん、すみません)」。
2曲目「フレンズ」です。「あれ、アコースティック・ギターだ。うーん、これは後でゆっくり聴こう。飛ばし!」
3曲目「祭典の日」です。「なんか変なギターの音だな。飛ばし!」
4曲目「貴方を愛し続けて」に針を飛ばします。「スロー・テンポのブルース?これもあとでゆっくり聴こう。飛ばし!」
5曲目の「アウト・オン・ザ・タイルズ」に針を飛ばします。「おっ、かっこいいギターのリフがやっと出てきたけど、ちょっと地味かな?これも後まわし!B面に期待だな」
そして、B面に針を落とし、愕然とします。
「B面全曲アコースティックじゃんかよ!」
「移民の詩」のような歪んだギターのかっこいいリフの曲を期待していたのに、満足できたのは「移民の歌」だけ。ましてや、移民の詩にはギター・ソロがありません。「貴方を愛し続けて」は最高にかっこいいスロー・ブルースのギター・ソロなのですが、他の曲のショックが大きくて、全然耳に入ってきませんでした。
当時中学1年生でLP1枚買うのは、結構な出費で勇気がいることでした。「こんな駄作を買ってしまった!」ショックで、もうレッド・ツェッペリンなど聴く気がしなくなり、また「イエス」「ユーライア・ヒープ」「ディープ・パープル」を改めて熱心に聴くようになりました。
【追記】
1.ツェッペリン好きの方ならご存知かと思いますが、サード・アルバムは発売当時に酷評された問題作。まさしく、僕がショックを受けたのと同じ気持ちを評論家も感じたのでしょう。「ファースト」「セカンド」と順に聴いてきて「サード」を聴いたら、誰でもそう思うでしょうね。僕は初めてでしたが、かっこいいギターのリフを期待しすぎていて、本当にショックで、返品したいくらいに思いました。
2.その後ツェッペリンにどっぷりとはまるのは約半年先位後なのですが、それからはサードが一番好きになった時期もあったくらいです。やはり、いきなりサードから入るには無理がありますね。
次もツェッペリン話が続きます。みんな知ってる曲と思いますが、一応「移民の歌」のリンク貼っておきます。
【音源】
移民の歌