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Pat Martino 奏法研究(5)

 さて、まだまだマイナー7thでのマルティーノフレーズをご紹介していきます。

 彼のピッキングと言えば、「コーヒーカップの取手」をつかむような感じで、硬質のピックを握り、強いアタックでオルタネートピッキング(アップダウンを交互に弾く)」ということが、よく言われます。間違いとは言いませんが、それだけではありません。特定のフレーズで中で、実に見事なスィープピッキング(ダウンダウン・・・やアップアップアップ・・・で隣の弦を滑らせるように弾く)を見せてくれます。

 フレーズを解説する前に、譜面に使用した記号についてですが、音符の上にある8分音符の玉なしのようなマークはダウンピッキング指定、不等号のようなマークはアップピッキング指定のマークです。弦楽器限定のマークとのことで、僕も最近知りました。
Phrase-5.jpg

(5-a)はAm7のアルペジオ。歯切れよく弾きます。左手は5弦12フレットA音に人差し指を置き、A音からC-E-Gまでをダウンスィープ、G-F#はピッキングなしのスラー、最後のD音はアクセントを付けて、アップピッキングで弾きます。3、4拍目のフレーズは最後のD音が1オクターブ下であるだけで、あとは同じです。マルティーノはこの1小節のフレーズを2回繰り返して弾く場合が多く、ソロをリズミックな感じにすることと、「前に続いていた16分音符の洪水を一休みさせ、次に新たな16分音符の洪水に突入」みたいな感じです。これを数回繰り返すことで、D音-D音-D音-D音・・・と規則性が生まれます。マルティーノのノリはこの「規則性」が重要なカギです。前回のPhrase-4もそうでしたよね。

(5-b)はアップピッキングのスィープと以前解説した「音を飲む」フレーズの連続で歯切れの良さが生まれます。「音を飲む」フレーズはビバップ特有の歌いまわしで、マルティーノは多用します。2小節目B--B♭-F#の太字はほとんど音にならない音、逆にその音の前のB、B♭は強調して弾くといい感じが出ます。「ダタタタタ」みたいに弾ければOKです。

(5-c)はAm7アルペジオ2オクターブのスィープ。これは少し難しいですが、絶対に体得したい技です。1小節目3-4拍目から2小節目にかけては彼の手癖です。指に覚え込ませましょう。スィープ部分の弾き方は(5-a)と同じです。(5-a)ができれば、このフレーズも練習すればできるようになると思います。

 まだもう少しマイナー7thでの彼の必殺技を紹介した後に、7thでのブルースペンタトニックを使ったフレーズをいくつか紹介し、そのあとすでに紹介したフレーズを使って、いよいよ彼の根底の方法論である「マイナーコンバージョンコンセプト」の導入部分を紹介していきます。

こうご期待!


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プロフィール

武田 謙治

Author:武田 謙治
1962年生まれ 新潟県出身
小4よりクラシックギターを始める。
中学~高校時代はロック、フュージョンに傾倒。
慶應義塾大学入学と同時に、慶應ライトミュージックソサェティに所属し、ジャズの演奏を始める。
卒業後は、働きながら音楽活動を継続し、ジャズギタリスト布川俊樹氏に4年間師事。その後、自己のバンドで各種コンテストに参加する。
【主な受賞歴】
浅草JAZZコンテスト グランプリ受賞
吉祥寺JAZZコンテスト グランプリ受賞
横浜JAZZプロムナード '94 コンペティショングランプリ受賞 横浜市民賞受賞
キングレコード「日本ジャズ維新塾」 グランプリ受賞 岡安芳明賞受賞
 
1990年代は精力的に活動をしていたが、2000年に入り、十数年の間活動休止。その後は2014年夏より活動を再開。
現在は、都内を中心に、「日本一ギターのうまいサラリーマン」を目標にライブや講師として活動中。


【ギター教えます】
 僕は有名ミュージシャンではないですが、ずっと独学でやってきて「ジャズのアドリブが全くできない」とか「そこそこ弾けるようにはなったが、なんかジャズっぽくないなー」など、自分のギター・プレイに不満な方や伸び悩んでいる方の気持ちは一番わかっているつもりですし、そんな方達の手助けができるかなーと感じています。また、このブログで連載している「Pat Martino奏法研究」等について「もっと詳しく教えてほしい!」とか「一週間に一回ペースの小出しでなく、時間をかけてじっくり教えてほしい」みたいな人にも力になれるかな?と思ってます。

 東京都杉並区に住んでいますので、通える方は僕の自宅、遠方の方や通うのは大変という方にはリモートでも教えています。レッスン内容や頻度は生徒の方々の希望に合わせて決めています。

 興味のある方はメールやメッセージ、もしくはブログのコメント送信等どんなやり方でも良いのでご連絡くだされば詳細をお伝えいたします。

 それではお待ちしています!!

Mail : rymk.takeda@gmail.com

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