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僕の音楽史(189)

【1994年】

 本選大会出場が決まっていた2つのコンテスト「横濱ジャズプロムナード」と「日本ジャズ維新」のうち、スケジュールの先だった横浜の方から準備を始めました。

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 「横濱ジャズプロムナード」は昨年別のメンバーで出場し、サード・プライズを獲得していましたが、昨年に比べ、しっかりとした企画で随分と予算をかけているなと感じました。

 審査員がそうそうたるメンバーでした。中村誠一さん、ジョージ大塚さん、今田勝さん、福村博さん、吉野弘志さん、そしてなんと僕の心中ではマルティーノと同じくらいの位置付け、あの秋山一将さんがいました。

 本選出場の連絡とともに一次審査で送ったカセットテープに収めた曲についての審査員の手書きの採点とコメントが送られてきました。採点項目は4つに分かれ(テクニック、アンサンブル、スイング、オリジナリティ)、それぞれに10点満点での得点が付けられていました。下の写真のような感じでした。(誰の得点・コメントかはわからないように写してあります。)得点は随分と厳しいなと思いましたが、他のバンドはどんな感じかはわかりません。ただ、コメントは概ね高評価のようでした。とりわけ秋山さんは「ギターの人はかなり上手だと思います。」と書いてくれていて、とても嬉しかったことを覚えていますw。

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 昨年と同様本選大会では2曲の演奏ですが、今年は課題曲と自由曲の2曲を20分以内で演奏という制約事項がありました。課題曲はグリーン・ドルフィン、マイ・ワン・アンド・オンリー・ラブ、ステラ、枯葉、サムデイ、ソフトリーの6曲から選ぶということでしたので、僕らはソフトリーを演奏することに決めました。自由曲についてはテープ審査では、僕のオリジナル曲「Listen」を送っていたのですが、本番では今でも僕のフェバリット曲である「Monday Blues(渡辺香津美さん)」を演奏することにしました。

 リハの時にソフトリーの演奏をしながらアイディアを出し合っていた時、ひょんなことからピアニストが「テーマをマイルスのネフェルティティのコードでやってみると面白い!」と言い出して、僕が弾くテーマに合わせて遊びで弾きだしました。みんな顔を合わせて大笑い。本当に面白いサウンドになりました。テーマの音をコードに合わせ一箇所だけ変更して、もうこれで行こうってことになりました。素晴らしいアイディアだったと思います。

 ソフトリーはテーマを先のようにリハモを施し、続くピアノ・ソロはCマイナーの一発、サックスはサビありの進行、そしてギターはドラムスとデュオでガンガンやってテーマに戻る、こんな感じでいくことにしました。

 一方、マンデイ・ブルースはシンプルにまんまブルースをオーソドックス路線でいこうと決めました。ソフトリーはイケイケで突っ走るので、そんなことばかりやってるバンドと思われたくないからでした。

 忙しいメンバーでしたし、実力のあるミュージシャンでしたので、リハも数回やって終わりだったと思います。

 このバンドの音は音源貼っておくので聴いてみてください。



 一次審査で送ったテープに収録した僕のオリジナル「Listen」です。

 メンバーは・・・ドラムスは宇山君、その他のメンバーは以前もお話しした通り内緒です。ご容赦くださいw。
 

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ジャンル : 音楽

Pat Martino奏法研究【完全版】第2章 Horizontal Movement(2)

しばらく間が空いてしまいました。今回は前回指板図で表した5つのポジションを実際に弾いてみます。

(1) Form1
  一番使われているポジションなのではないでしょうか?逆にこのポジションしか弾けない人も多いと思います。どのFormでもそうなのですが、それぞれの弦の一番左側の音は人差し指で、右側の音は小指を使って、しっかりとポジションを固定して弾くと良いと思います。ところどころ指板図にない音(ドリアンスケール以外の音)も経過音として使っています。



(2) Form2
  このポジションはGm7(Gドリアン)というよりもB♭△7のときによく使う方が多いのではと思います。動画でもところどころB♭△7のアルペジオを弾いたりしています。



(3) Form3
 このポジションはあまりなじみがないでしょう。ただ、Cミクソリディアン(C7)と考えてみれば(Gm7⇒C7にコンバージョン)理解できるのではと思います。



(4) Form4
 Form1の指の形を5弦から始めると考えれば理解できます。したがって(1)を知っていれば容易に使えるようになるのではないでしょうか?



(5) Form5
 一番なじみのないポジションと思います。僕もPatのビデオを見る以前は全く使っていませんでした。



次回はいよいよこの5つのFormのHorizontal Movement(水平の動き)について解説していきます。

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僕の音楽史(188)

【1994年】

 以前も書きましたが、この頃のバンドはアルトサックスを入れたこともあって、テーマを弾き分けたり、ハモったりと多少バリエーションが増える一方、演奏時間が長くなる傾向がありました。また、フロントがもう一人いるのですから以前に比べ、ギターがあまり目立たなくなった気がします。そして、難しくもありました。

 活動の拠点は「新宿J」と千歳烏山「J-MOOD」、そして昨年度までの浅草や吉祥寺、横浜コンテスト繋がりのイベント出演の仕事がありました。

 このバンドは、今までのバンドと音楽活動に決定的な違いがありました。今までの活動の中心は「イベント」で、仕事がある、なしなどお構いなく「リハーサル」をしっかりやっていました。リハーサルすること、そのものが目的であって、とても楽しいものでした。ところが、このバンドはそれぞれのメンバーが既にプロとして活動を始めてましたし、ライブやイベントが比較的多かったので、リハーサルはあまり行えませんでした。また、そんなリハーサルを行う必要もないくらいの実力のあるプレイヤー達でした。その辺がなんとなく逆に不満であって、「自分のバンド」という気持ちが少し希薄になってきました。正直に言ってしまうと、彼らと一緒に演奏するだけの力が僕にはまだなかったのかもしれません。

 こんな感じで活動をしていた頃、雑誌で見かけた2つのコンテストに応募しようと思いました。一つは「横浜ジャズプロムナード’94コンペティション」。これは昨年、別のメンバーで出演し、「Third Prize」を獲得したもの。要は「リベンジ」ですw。もうひとつは正確な名前はお覚えていませんが、キングレコード主催の「日本ジャズ維新」というものでした。

 どちらのコンテストも、今まで録り溜めていたライブ録音があったので、それを応募して予選通過し、本選に出場が決まっていました。どちらのコンテストも課題曲と自由曲の2曲を演奏する内容でした。そこで、スケジュールが先の横浜ジャズプロムナードに向けてリハーサルを行うことにしました。

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僕の音楽史(187)

【1994年】

「すげー!動いてるよ!」

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 マルティーノの教則ビデオで、初めて「動くマルティーノ」を目の当たりにして驚愕しましたが、もっと驚愕したのは、彼の解説する理論の中身でした。

 「マイナー・コンバージョン・コンセプト」

 これは僕が彼のフレーズ・コピーを必死にやっていて1987年に気がつき(僕の音楽史(141)を参照)、その後の布川さんのレッスンの時にも「何で理論のこと知らないのに弾けるの?」と聞かれ、ネタバラシをしなかった「世紀の大発見」、まさにそのものでしたw。

 「やはりマルティーノはこう考えていたんだ!」

 彼から教わったのではなく、自分で彼の演奏を研究して気がつき、それがことごとく当たっていたことに最大の喜びを感じました。彼の説明ははもう全て頭や体に叩き込まれていたものでしたが、このビデオを見ることでもう一つ上のステップに行けた気がします。

 そして、彼のピッキング・フォームに僕はそっくりだったことも驚きで嬉しかったのです。僕は右手のフォームやピッキングにすごく悩んでいました。マルティーノの前にベンソンに入れ込んでいた時期もあって、あの逆アングルの「加速するピッキング」に憧れていました。ベンソンは「速い」だけでなく「加速」します。音符の速度がぐんぐん速くなり、たたみかけるように短い時間の中に詰め込んでくるのです。野球に例えると、「キャッチャーの手元に届く前に伸びる球」のような感じです。一方、マルティーノは速弾きは速弾きでも、ある一定の速度をキープし、加速することはありません。ただ、ひとつひとつのアタックが強靭です。これは、ベンソンのようにピックを指先でつまんで逆アングルで弾くことでは絶対得られないと思いました。

 このビデオを見る前に彼のピッキング・スタイルを何枚かの写真と合わせて想像していました。マルティーノのアルバム「デスペラード」の裏ジャケットに、あの巨匠レスポールがマルティーノのピッキングについてこう書いていました。

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 ”His picking style was absolutely unique.He held his pick as one would hold a demi-tasse.Pinky entended,very polite,"

 「彼のピッキング・スタイルは大変ユニークなものだった。彼はまるでデミタスのコーヒーカップを握るような感じでピックを握っていた。小指がまっすぐ伸びていた」


 僕にはクラッシックギターを弾いている時から右手に悪い癖がありました。それは「小指が伸びている」ことでした。変に力が入ってしまい、いつも先生に注意されていましたし、輪ゴムで隣の薬指と束ねることで直そうと試みましたが、一向に治りませんでした。ピックを持つようになっても、この癖は残ってしまっていました。

 彼のピッキング・スタイルについてのレスポールの言葉を見て、もう癖を治す意味などないと思いましたし、彼と同じ癖があることに大きな喜びを感じました。

 こうして出来上がった僕のピッキング・スタイルが、ビデオで見る彼の右手のフォームにかなり近かったのは最高の喜びでした。

 こうして、パット・マルティーノは僕の中で「神」になりましたw。



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Pat Martino奏法研究【完全版】第2章 Horizontal Movement(1)

(1)5つのフォーム

 パットの演奏の特徴としては、「スケールライクで長尺なフレーズ」であることは言うまでもないことと思います。スケールライク、ここではパットの「マイナー・コンバージョン」のベースとなっている「ドリアン・スケール」を使って話を進めて行きます。

 「長尺のソロを実現するためには何が必要か?」

 これは「指板を隅から隅まで使えるようにする」技術が必須となってきます。そして、「それぞれのポジションを連結させて弾ききる」技術が必要です。

 写真の指板図をご覧になってください。
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 Gm7のコード・フォーム(黒丸)とその付近に存在するGドリアン・スケールの音をプロットしたものです。指板上はFORM1〜FORM5までの5つのポジション(運指)が想定できます。まずはこの5つのフォームを体に覚え込ませることが必要です。

※これから当面の間解説していくことは、パット・マルティーノの著書である「Linear Expressions」やビデオ作品である「Creative Force」に基づいています。

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プロフィール

武田 謙治

Author:武田 謙治
1962年生まれ 新潟県出身
小4よりクラシックギターを始める。
中学~高校時代はロック、フュージョンに傾倒。
慶應義塾大学入学と同時に、慶應ライトミュージックソサェティに所属し、ジャズの演奏を始める。
卒業後は、働きながら音楽活動を継続し、ジャズギタリスト布川俊樹氏に4年間師事。その後、自己のバンドで各種コンテストに参加する。
【主な受賞歴】
浅草JAZZコンテスト グランプリ受賞
吉祥寺JAZZコンテスト グランプリ受賞
横浜JAZZプロムナード '94 コンペティショングランプリ受賞 横浜市民賞受賞
キングレコード「日本ジャズ維新塾」 グランプリ受賞 岡安芳明賞受賞
 
1990年代は精力的に活動をしていたが、2000年に入り、十数年の間活動休止。その後は2014年夏より活動を再開。
現在は、都内を中心に、「日本一ギターのうまいサラリーマン」を目標にライブや講師として活動中。


【ギター教えます】
 僕は有名ミュージシャンではないですが、ずっと独学でやってきて「ジャズのアドリブが全くできない」とか「そこそこ弾けるようにはなったが、なんかジャズっぽくないなー」など、自分のギター・プレイに不満な方や伸び悩んでいる方の気持ちは一番わかっているつもりですし、そんな方達の手助けができるかなーと感じています。また、このブログで連載している「Pat Martino奏法研究」等について「もっと詳しく教えてほしい!」とか「一週間に一回ペースの小出しでなく、時間をかけてじっくり教えてほしい」みたいな人にも力になれるかな?と思ってます。

 東京都杉並区に住んでいますので、通える方は僕の自宅、遠方の方や通うのは大変という方にはリモートでも教えています。レッスン内容や頻度は生徒の方々の希望に合わせて決めています。

 興味のある方はメールやメッセージ、もしくはブログのコメント送信等どんなやり方でも良いのでご連絡くだされば詳細をお伝えいたします。

 それではお待ちしています!!

Mail : rymk.takeda@gmail.com

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