さて、まだまだマイナー7thでのマルティーノフレーズをご紹介していきます。
彼のピッキングと言えば、「コーヒーカップの取手」をつかむような感じで、硬質のピックを握り、強いアタックで
オルタネートピッキング(アップダウンを交互に弾く)」ということが、よく言われます。間違いとは言いませんが、それだけではありません。特定のフレーズで中で、実に見事な
スィープピッキング(ダウンダウン・・・やアップアップアップ・・・で隣の弦を滑らせるように弾く)を見せてくれます。
フレーズを解説する前に、譜面に使用した記号についてですが、音符の上にある8分音符の玉なしのようなマークはダウンピッキング指定、不等号のようなマークはアップピッキング指定のマークです。弦楽器限定のマークとのことで、僕も最近知りました。

(5-a)はAm7のアルペジオ。歯切れよく弾きます。左手は5弦12フレットA音に人差し指を置き、A音からC-E-Gまでをダウンスィープ、G-F#はピッキングなしのスラー、最後のD音はアクセントを付けて、アップピッキングで弾きます。3、4拍目のフレーズは最後のD音が1オクターブ下であるだけで、あとは同じです。マルティーノはこの1小節のフレーズを2回繰り返して弾く場合が多く、ソロをリズミックな感じにすることと、「前に続いていた16分音符の洪水を一休みさせ、次に新たな16分音符の洪水に突入」みたいな感じです。これを数回繰り返すことで、
上D音-
下D音-
上D音-
下D音・・・と規則性が生まれます。マルティーノのノリはこの
「規則性」が重要なカギです。前回のPhrase-4もそうでしたよね。
(5-b)はアップピッキングのスィープと以前解説した「音を飲む」フレーズの連続で歯切れの良さが生まれます。「音を飲む」フレーズはビバップ特有の歌いまわしで、マルティーノは多用します。2小節目B-
G-B♭-
F#の太字はほとんど音にならない音、逆にその音の前のB、B♭は強調して弾くといい感じが出ます。「ダ
ッダ
ッタタタタ」みたいに弾ければOKです。
(5-c)はAm7アルペジオ2オクターブのスィープ。これは少し難しいですが、絶対に体得したい技です。1小節目3-4拍目から2小節目にかけては彼の手癖です。指に覚え込ませましょう。スィープ部分の弾き方は(5-a)と同じです。(5-a)ができれば、このフレーズも練習すればできるようになると思います。
まだもう少しマイナー7thでの彼の必殺技を紹介した後に、7thでのブルースペンタトニックを使ったフレーズをいくつか紹介し、そのあとすでに紹介したフレーズを使って、いよいよ彼の根底の方法論である「マイナーコンバージョンコンセプト」の導入部分を紹介していきます。
こうご期待!