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Pat Martino奏法研究【完全版】 第6章 Phrase & Groove(4)

 前回の続編です。

 下の譜面と動画を参照ください。

PhraseGroove(3_1)



 前回との違いは3連の頭の音はE音(2弦5フレット)ではなく、B音です。しかも、2弦の開放弦の音を出します。このフレーズをB♭7で弾きます(ちなみに前回のフレーズもB♭7想定です。)。B♭7でB音、つまり♭9thの音になるので、おや?って感じに聴こえます。この動画のような速度、あるいはもっと遅いテンポでは、その違和感が強くて、もしかしたら使えないかもしれませんが、パットはかなり速いテンポでこれを使ってきますので、その違和感がむちゃくちゃかっこよかったりします。下の動画のようにこのフレーズを1フレットずつ上げていったり、下げていったりと俄然ソロを盛り上げていきます。



 これ、パットはあえて♭9thのB音を選んで使っているのでしょうか?僕は多分違うと思っています。たまたま2弦の開放弦がB音だっただけで、「B音が欲しかったのではなく、開放弦を鳴らした、その音がたまたまB音なだけ」、物理的な理由なのだと思います。

 今後も紹介することになると思いますが、彼はこういうのが非常に多いです。音程から来るのではなく、指板や運指から選択された音を弾いてるフレーズ(と思われるもの)がたくさんあります。

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ジャンル : 音楽

Pat Martino奏法研究【完全版】 第6章 Phrase & Groove (3)

 今回はPatのお得意の「死ぬまで続く3連フレーズ」です。
 
 まずは下の譜面と動画を御覧ください。

Prase Groove (3)



 3連とは言っても1拍ずつ3連符で弾くのではなく、正式にはなんて呼ぶのかはわかりませんが「8分音符の3つ取り」とでも言うのでしょうか、拍の長さは8分音符で1小節8つの音を弾くのですが、3つの音一組フレーズなので、拍の頭がフレーズの頭にならずにずれていきます。4と3の最小公倍数の12、つまり12回めの8分音符=3小節4拍を弾いたところでまた振り出しに戻ります。これ毎回一拍目で3連として弾くとリッチー・ブラックモアになってしまうので気を付けてくださいw。これ、初めての人は慣れないと難しいかもしてません。(動画は4小節の3.5拍のところで止めています。)

 動画の右手ピッキングに注目です。3連の最初のE♮Fの2音ですが、パットは必ず1回目は1音ずつしっかりとピッキングし、2回めはE♮を弾いた後にF音はピッキングしません。しかも、左手は彼はE♮音を押さえた人差し指をスラーで同じ人差し指でF音を押さえます。僕はうまくできないので、中指でハンマリングして似たようなニュアンスを出すようにしています。

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Pat Martino奏法研究【完全版】 第6章 Phrase&Groove(2)

下の譜面と動画をご確認ください。

Phrase Groove(2)



 リッチー・ブラックモアが「ハイウェイ・スター」や「バーン」でやっていたあの奏法ですw。動画ではAmコードの上に「ラシドレドシラ」とやっています。「ラシドレドシラ」を16分音符4つの頭で弾いた後の裏拍及び残りをE音を1弦の開放弦の音を出します。もう少し正確に言うと、「ラシドレドシラ」の裏拍E音はピッキングせずに左手を離して次の音に動かす時に引っ掛けて(プリング・オフ)鳴らし、残りのE音2回はピッキングします。しかもはっきりとE音を鳴らさずにカサカサと鳴らす感じですか。いや、マルティーノは曲のテンポや雰囲気に応じてはっきりと鳴らすときもあります。

 上のサンプル動画の感じでは、あまりにダサくて使えないと思いますw。例えば、次の動画のような感じで使うと、ちょっと違ってくるのでは?と思います。開放弦はしっかり鳴らさなずラフな感じ、そして、1弦だけでなく2弦〜4弦で同じようにに使っていきます。(C7ーA7それぞれ8小節の繰り返しの例です)



 実はこの技、個人的には重宝しています。僕は彼の影響を受けていますから、どうしてもアドリブ演奏が8分音符もしくは16分音符でよどみなく弾くことが多いのですが、悲しいかな、マルティーノのように強靭な右手を持ち合わせていないため、右手が疲労してすぐに動かなくなってきます。そんな時にこのフレーズを合間に入れると、手首の疲れを取って、また弾き続けることができます。

 もちろんパットはそんなためにこのフレーズを使っているわけではないと思いますが。

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Pat Martino奏法研究【完全版】第6章 Phrase & Groove(1)

 今回からは「Phrase & Groove」ということで、彼のフレーズを紹介しながら、彼の強力なGroove(ノリ)を僕なりに説明していきたいと思います。

 まずは下の譜面の左側を御覧ください。


Phrase Groove(1)


 右手のピッキングのアップ・ダウンの話をします。全てダウンピックで弾いたりしてませんか?全てアップで弾いてる人はあまりいないと思いますが。あるいは弾くたびにまちまちだったりしていませんか?

 ピッキングは人それぞれ、千差万別で正解というのはありません。オルタネートやエコノミー、弦のヒットの仕方も鋭角、平行、鈍角とあって、ここではどれが良いとか悪いとかを議論するつもりはありませんし、僕自身も未だ完全に定まっているとは言えません。あくまでパットの奏法研究という観点でお話していきます。

 彼の場合はスウィープを多様したフレーズはたくさん弾きますが、基本はオルタネート・ピッキング、要するにダウン、アップの順に弾きます。それでは、譜面の左側の最初の4分音符D#音をダウン、次のD音をアップ、次の8分音符C音をダウン、最後のA音をアップで弾くのでしょうか?

 違います。二重線右側の譜面を見てください。まず、音の長さ的には4分音符ではなく、8分音符と休符に近い感じです。そして、この8分休符と4分休符がポイントです。常にピックは8分音符でダウン・アップを繰り返し、休符の部分は弦にヒットさせませんが(空ピック)、必ずピックを動かします。D#をダウン、次の8分休符でアップ、次のD音でダウン、次の8分休符はアップ、次のC音はダウン、最後のA音はアップ、そして最後の4分休符でダウン・アップの動きです。

 このように、常に8分音符の動きでピック(手首)を動かし続けていることで、あの8分音符(16分音符)の強力なグルーブが生まれてくと考えられます。下の動画はあえて空ピックの部分をコツンと音を出して弾くのを、何回かゆっくりと繰り返したのち、音を出さずに弾いています。



 エコノミー・ピッキングの人は別にして、オルタネート中心の人は、これが全くできていない人が多いです。8分音符の部分は8分のアップダウンで弾いていますが、音符が長いと適当にアップダウンで弾き、毎回違った弾き方をします。これではジャズの8分音符のノリは生まれてきません。ピックを律儀に動かさないまでも、体や腕にこの8分のダウンアップの動きを感じながら弾かなくてはいけません。

 最後に5年ほど前になりますが、僕の演奏を貼り付けておきます。無伴奏で「Oleo」を弾いていますが、8分音符中心のフレーズの中に出てくる4分音符のときも常にピックがダウンアップで動いていることがわかると思います。

 参考にしてください。


 

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Pat Martino奏法研究【完全版】 第5章 Capture Of Fingerboad(4)

 今回はCapture Of Fingerboad の最終回です。パットの得意フレーズを4オクターブに渡って(4オクターブ目は指板が足りなくて尻切れトンボですが)指板をまさに上から下まで使って弾いてみます。譜面と動画を参照ください。

指板攻略4



 フレーズについて一言。8分音符で表記するとフレーズ一塊が6拍です。したがって4拍子では頭がずれて、2小節目の3拍目が2オクターブの頭になります。そして3小節目の頭で3オクターブ目の頭のフレーズが来ます。パットはこういうフレーズが結構多くて、それがまた格好良かったりします。彼の場合は3拍子の曲でも気にもとめずゴリゴリと4拍のフレーズを弾きますからw、同じようなことが起きます。僕自身も3拍子が苦手で悩んでいましたが、彼の演奏を研究してこれに気が付き、少し安心した覚えがありますw。

 次回からはまた違ったテーマを取り上げていきます。

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プロフィール

武田 謙治

Author:武田 謙治
1962年生まれ 新潟県出身
小4よりクラシックギターを始める。
中学~高校時代はロック、フュージョンに傾倒。
慶應義塾大学入学と同時に、慶應ライトミュージックソサェティに所属し、ジャズの演奏を始める。
卒業後は、働きながら音楽活動を継続し、ジャズギタリスト布川俊樹氏に4年間師事。その後、自己のバンドで各種コンテストに参加する。
【主な受賞歴】
浅草JAZZコンテスト グランプリ受賞
吉祥寺JAZZコンテスト グランプリ受賞
横浜JAZZプロムナード '94 コンペティショングランプリ受賞 横浜市民賞受賞
キングレコード「日本ジャズ維新塾」 グランプリ受賞 岡安芳明賞受賞
 
1990年代は精力的に活動をしていたが、2000年に入り、十数年の間活動休止。その後は2014年夏より活動を再開。
現在は、都内を中心に、「日本一ギターのうまいサラリーマン」を目標にライブや講師として活動中。


【ギター教えます】
 僕は有名ミュージシャンではないですが、ずっと独学でやってきて「ジャズのアドリブが全くできない」とか「そこそこ弾けるようにはなったが、なんかジャズっぽくないなー」など、自分のギター・プレイに不満な方や伸び悩んでいる方の気持ちは一番わかっているつもりですし、そんな方達の手助けができるかなーと感じています。また、このブログで連載している「Pat Martino奏法研究」等について「もっと詳しく教えてほしい!」とか「一週間に一回ペースの小出しでなく、時間をかけてじっくり教えてほしい」みたいな人にも力になれるかな?と思ってます。

 東京都杉並区に住んでいますので、通える方は僕の自宅、遠方の方や通うのは大変という方にはリモートでも教えています。レッスン内容や頻度は生徒の方々の希望に合わせて決めています。

 興味のある方はメールやメッセージ、もしくはブログのコメント送信等どんなやり方でも良いのでご連絡くだされば詳細をお伝えいたします。

 それではお待ちしています!!

Mail : rymk.takeda@gmail.com

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