ジャズギター裏口入学(22)

【まずどんな曲から練習を始めるか(7)】

 「一発もの」の学習方法から始め、「4度重ねの和音」についてお話ししましたが、今回からは「スタンダード」の学習方法について自分なりの考えを書いてみます。

 まず、曲は何から始めるかですが、まずはお気に入りの曲であることが前提ですが、音楽的なことで言うと次の3つの事かなと思います。

(1)キーはメジャーならB♭、F、E♭、C  マイナーならGm、Cm、Am
(2)ⅡⅤⅠやⅢⅥⅡⅤⅠなどの代表的な進行が中心で、あまり目まぐるしく動かない曲
(3)黒本や青本に譜面が出ていて、自分の好きなギタリストの音源があること

(1)についてはやはりこのキーで演奏される曲が圧倒的に多いですし、ギター的にもそれぞれのキーの代表的なポジションがネックのヘッド側、真ん中、ボディ側となるので、フレットをまんべんなく使えるようになる練習になります。

(2)もいいですよね。まずはジャズのオーソドックスなフレーズを徹底的に身体に覚えさせることが重要と思うからです。いきなり「ドルフィン・ダンス」とか「ネフェルティティ」とかじゃなくってと言うことですね。このような曲をいきなりスラスラとコード進行にとらわれず弾ける人はある意味「限られた人」「選ばれし人」なわけで、ここでの講座の対象ではありません。

(3)が一番大事なことです。先ず、譜面が必ずあることが重要です。理由は2つ、なんの飾り気もない「テーマの素のメロディー」を確認するためです。そして、もう一つは「コード進行を確認し、その中で展開されたテーマやアドリブを他の曲で応用できるようにするため」です。

よく、コード進行もわからずに他のギタリストのテーマやフレーズをコピーして練習している人がいますが、これでは他の曲に応用することができないと思います。これは「試験問題の答えを暗記する」行為と全く一緒で、問題文の中の数値を変えられただけで全く解答が導き出せないのと一緒です。弾けるようになってもただの「自己満足」に過ぎず、音源に合わせて一緒に弾いて満足感を得ること位しかできません。大体、人前で他のギタリストのテーマやアドリブをそのまま弾くのは、「トリビュート・ライブ」みたいな特殊な場合以外はやってはいけないことと思います。

黒本や青本などで「素のテーマメロディ」を確認するのは、お手本にするギタリストが「素材をどう料理するか」を確認するためです。

次回から(3)の練習方法について実際にどうやっていくかを具体的に譜面や動画で何回かに分けてお伝えすることにします。

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ジャズギター裏口入学(21)

【まずどんな曲から練習を始めるか(6)】

 ちょっとタイトルとずれてはきましたが、一発ものを学ぶメリットを説明していく中で4度累積の和音の話をしていたので、もう一個大事な4度重ねの和音、そして誰でも簡単にモーダル(?)の雰囲気が出せる必殺技をお話しておきます。

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 譜面のまずは最初の2小節のフレーズを弾きますね。下の動画です。



 Am7想定のブルースっぽい感じのごくごく当たり前なフレーズですね。このフレーズをトップの音にして下に4度重ねで4声にしているのが譜面の3~4小節です。弾いてみます。下の動画を確認してください。



 だれでもできるって言ったのは、最初の音で指の形を覚えたら、あとはフレットを横に平行移動するだけだからです。いかにもギター的ですね。これをピアノでやろうとすると、黒鍵白鍵がらみでこうはいかないと思いますね。

 ギターのコードソロはとでも難しいですが、これならできそうですし、難しい運指のコードソロの合間合間にこの和声を効果的に使っていくと、結構カッコ良かったりします。

 どんどん活用してみてください!

ジャズギター裏口入学(20)

【まずどんな曲から練習を始めるか(5)】

 前回「一発もの」の学習のポイントやメリットをお話ししましたが、今回はそれを具体的に書いてみます。

 「一発もの」を学ぶメリットとして3つ挙げました。

 (1)フレーズのストックを増やせる
 (2)コードのバリエーションを身につけることができる
 (3)アウトサイドのプレイを学べる

 このうち(2)について解説してみます。

 あっ、この話は「ソー・ホワット」のような「Dm7一発」を想定しています。



 まずは下の譜面と動画を見てください。

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 これ、普通のギター教則本には必ず書いてあるコードですね。ダイアトニックコードって言うのですか?


 「Dm7一発」てことは「Dドリアン・スケール」、これって「ドレミファ・・・・をレから始めたスケール」ですよね。ここまではわかりますか??「ドレミファ・・・」のスケールのバッキングなら上のコードをチョイスしてバッキングすれば、なんかうまくいくのではないかと始めは考えました。

 でも、なんか雰囲気が違います。当時は次のような言葉は知りませんでしたが、なんか「モーダル」な雰囲気が感じられません。「なんか違うな?」っと。





 しばらくしてから「モーダルな雰囲気は四度重ね」っていう話を何かの雑誌で読みました。さっそく家に帰ってやってみようってことで、理論的には全くよくわからなかったのですが、最初の譜面のダイアトニックコードを参考に自分なりに音を変えてやってみたのが下の譜面と動画です。

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 「これこれ!」と思いました。なんか不思議な雰囲気、少し不安定な感じが当時の自分には物凄く魅惑的な音に感じられました。

 ※C△7(#5)ではなく、C△7(♭5)でした。すみません!ただ、ここは一般的にはC△7(4)C、F、B、Eを弾く人が多いです。
 ※同じくF△7(#5)ではなく、F△7(♭5)でした。重ね重ねすみません!!


 動画の最後にちょっとだけそれっぽい事を弾いていますが、次回はこのコードを使って実際にバッキングの動画をアップしてみようと思います。

ジャズギター裏口入学(19)

【まずどんな曲から練習を始めるか(4)】

 今回は「一発もの」といわれる曲について学習のポイントを話そうと思います。

 「一発もの」、ここでは「ソロの部分がコード変化がないもの」あるいは「コード変化はあるものの一つのスケールで弾けてしまうもの」と定義します。乱暴に分けてしまうと「マイナー7th一発」と「7th一発」に大きく分けられると思います。ここではジャズの中では比較的多い「マイナー7th一発」のことについて限定して説明します。

 代表的な曲はやはりマイルス・デイビスの「ソー・ホワット」「マイルストーン」と思いますが、それ以外でも色々なミュージシャンがこの形式を借りてオリジナルの楽曲を作っています。

 この「マイナー7th一発」形式の楽曲を学ぶことは大きく3つのメリットがあります。

(1)フレーズのストックを増やせる
 とにかく、コードが一つなわけですから、コード進行やチェンジ、あるいはスケールを気にかけずにどんどんコピーしていくことができます。マイナー7th一発ですから、基本はドリアン・スケールをメインで演奏しているケースが多いですので、このスケールを把握していれば、何とか採譜もできるはずです。そして、ドリアンスケールはマイナーペンタトニックの音を含んだスケールですから、応用範囲がとても広く、どんどん実践で使っていけます。

(2)コードのバリエーションを身につけることができる
 一発コードだからと言って、同じポジションのマイナー7thコードを延々弾き続けているギタリストなんていません。たった一つのコードネーム、たとえばDm7の中で、ギタリストたちはさまざまなポジションで色々な音を含んだコードを弾いています。これを採譜することで、逆に皆さんが譜面の中でマイナー7thコードを見て弾くときのバリエーションを身に着けることができます。また、ここでは言葉の意味は説明しませんが、マイナー7th一発特有の「モードっぽい4度重ね」のかっこいいコードを身につけることができます。そして、この和音を普通のスタンダードにさりげなく利用するととってもモダンなかっこいい演奏ができます。

(3)アウトサイドのプレイを学べる。
 (2)のコード同様に、マイナー7thだからと言って、「ドリアン・スケール」だけで演奏している人なんていません。単調さを避けるため、皆、色々なスケールを駆使して、かっこいいアウトサイドラインを弾いています。なんたって「ドリアン・スケール」を中心としたマイナースケール以外のスケールを弾けば、ある意味「アウトサイド」と言えるわけですから。

 次回は、今日書いた内容が具体的にどのようなことかを譜面と動画を使ってわかりやすく説明しようと思います!

 お楽しみに!

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ジャズギター裏口入学(18)

【まずどんな曲から練習を始めるか(3)】

 前回ブルースの時に下の様な事を書きました。

 「単音で弾けるようになったら、曲によってはハモリ(3度や6度)、オクターブ、譜割を変えるなどちょっとだけアレンジしてみると良いと思います。」

 このことについて具体的にどういう事かを説明しますね。何故かと言うと、これが初心者と中級以上のプレイヤーの大きな違いと思うからです。

 題材はB♭のブルース「ブルー・モンク」で解説します。

 まずは単音で弾いてみますよ。


 あえて単調に弾いてますが、もう少し気持ちを込めて弾いてあげるだけで、単音でも十分オーケーかもです。ただ、一人で弾いているとそうでもないですが、バンドの中でやると、ギターの音は思いの他しょぼくて、これではなんか物足りなく感じます。

 三度でハモッてみます。ガットギターなので、ちょっとキュッキュッとうるさいですがご勘弁を!




 一音追加しただけで音に厚みが出ますよね。でも、三度のハモリって、なんか普通ポカったりしますよね。今度は6度でハモってみますよ。



 どうですか?少し、モダンな感じがしませんか?

 最後に、3度ハモりから始めて2コーラス目で6度、そして自分なりにところどころ譜割りを変えたりして、自由にに弾いてみます。


 
 単音でテーマが弾けるようになったら、それで「俺はXXの曲が弾ける」って人が多いです。自分の大好きなギタリストの演奏をよく聴いてみてください。テーマをただ譜面通りに単音だけで弾いているギタリストはいませんよね?みんないろいろ工夫して弾いてます。そして、それがその人の個性ですよね?

 単音で弾けるようになったら、色々なギタリストの演奏を参考に、自分のレベルにあったアイディア、アレンジを施して演奏するようにしてください。その重要性は、ひとりでメトロノームに合わせて練習していては気が付きません。他の楽器と演奏し、ギターの生音の弱さに気が付き、そんな中で「自分の音を聴いてもらえるにはどうしたら良いか?」とか「音のしょぼさを逆に利用する手はないか?」など色々考えないとだめですよ。

 次回は「一発もの」についての学習法について書こうと思います。

 
 
プロフィール

武田 謙治

Author:武田 謙治
1962年生まれ 新潟県出身
小4よりクラシックギターを始める。
中学~高校時代はロック、フュージョンに傾倒。
慶應義塾大学入学と同時に、慶應ライトミュージックソサェティに所属し、ジャズの演奏を始める。
卒業後は、働きながら音楽活動を継続し、ジャズギタリスト布川俊樹氏に師事し、各種コンテストにも参加。
【主な受賞歴】
浅草JAZZコンテスト グランプリ受賞
吉祥寺JAZZコンテスト グランプリ受賞
横浜JAZZプロムナード '94 コンペティショングランプリ受賞 横浜市民賞受賞
キングレコード「日本ジャズ維新塾」 グランプリ受賞 岡安芳明賞受賞
 
1990年代は精力的に活動をしていたが、2000年に入り、十数年の間活動休止。2014年夏より活動を再開。現在は、都内を中心に、「日本一ギターのうまいサラリーマン」を目標にライブ活動中。

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